Choice
今回聴いたアンサンブル・コレスポンダンス(セバスティアン・ドセ指揮)演奏の一枚は,アンドレ・カンプラの『レクイエム』をメインに据え,ノートルダム大聖堂の音楽監督などを務めた17世紀フランスの作曲家による宗教作品を集めたプログラム。私自身,比…
バズるということが評価され、一過性のコンテンツが氾濫する世の中ではあるが、最近はバズった何かよりも長く受け継がれてきたものにロマンを感じることが増えた。それは流行りの「レトロ趣味」ということでもなくて、長く受け継がれてきたものには長く受け…
今年のグラモフォン賞を受賞した作品で、他の年間賞の候補リストでもたびたび名前を見かけているのが、ポール・マクリーシュとガブリエリ・コンソート&プレイヤーズによる、エルガー作曲のオラトリオ『ゲロンティアスの夢』。一時間半というボリュームを見…
最近は軒並みポップス作品ばかり聴いていたので、久しぶりに合唱のアルバムを聴く。ストリーミング(Apple Music Classical)で聴いているので時間さえあれば際限なく聴けてしまうのだが、そのような選択肢の過剰さが何を聴くかを選べなくさせてしまうような…
アラミレによるウィリアム・バードの作品集第一弾。第二弾(1589)は以前このブログでも取り上げているが、今回は1588年に出版された『詩篇、ソネット、悲しみと敬虔の歌曲集』を全曲録音した一枚。トマス・タリスとの出版楽譜(1575年。アラミレは2011年に…
また不意にジェズアルドが聴きたくなって、今回はコレギウム・ヴォカーレ・ヘント(フィリップ・ヘレヴェッヘ)のマドリガーレ集第5巻をセレクト。タイトルにもなっている1611年はジェズアルドが亡くなるわずか2年前で、聖週間のためのテネブレ・レスポンソ…
ラトビア放送合唱団はラトビアをはじめとするバルト三国の合唱作品を多数録音してきたが、今回のアルバムでもラトビア出身の作曲家による作品、とりわけ最新(2023年)の作品を集めて、現在地を示すような一枚となっている。 アルバムのタイトルにもなってい…
モーリス・ラヴェルの曲といえば、一般に最も有名なのは『ボレロ』だろう。ところが、私のような吹奏楽民からすると、ボレロは吹奏楽(特に吹奏楽コンクール)ではなかなか演奏されるものではなく、むしろ『ダフニスとクロエ 第二組曲』の方が圧倒的に人気な…
後期ルネサンスのイタリアで活躍した異端の作曲家カルロ・ジェズアルドによるマドリガーレ集の第4巻。フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮のコレギウム・ヴォカーレ・ヘントはこれまでにジェズアルドのマドリガーレ集の第6巻(Phi: LPH024)と第5巻(Phi: LPH03…
Gramophone Awards 2024 古楽部門のノミネート作品。古楽ア・カペラ作品を数多く取り上げてきたカペラ・プラテンシスが今回取り組んだのは、ルネサンス期のポリフォニーミサの中でも最高峰とされている長大さと複雑さを誇る、ヤーコプ・オブレヒトのミサ『優…
イギリスの声楽アンサンブルであるスティレ・アンティコの演奏で、イングランド(およびアイルランド)における、テューダー朝の教会音楽を聴く。世界史には疎いので、テューダー朝と言われてもまったくピンと来なかったのだが、薔薇戦争を勝ち抜いたヘンリ…
ルネサンス後期から初期バロックにかけてイタリアでは世俗歌曲である「マドリガーレ」が流行した。フランスで言うところの「シャンソン」、イギリスで言うところの「マドリガル」と近い位置付けのジャンルだろう(多分)。マドリガーレについて「主題は恋愛…
ドイツを代表する2つのヴォーカル・アンサンブルグループである、カルムス・アンサンブルとアマルコルドによるコラボアルバム。そこに宗教改革の「ライプツィヒ討論」という題をつけているのが面白いところ。アルバムのメインであり今回の個人的なお目当てで…
少し前にGramophone Awards 2024 の部門ごとの候補が発表された。聴いていないアルバムが色々と選出されていたので、とりあえず一つでも多く聴いてみようと思っている。余談ながら、個人的にはそこまで重要ではないものの、最近 Presto Music のサイトでEdit…
最近は妙にシックスティーンが耳に馴染む感じがあって、パレストリーナを順に聴いていくだけでなく新しい作品から遡るような聴き方もしている。今回聴いたのはバード没後400年(2023年)を記念したアルバム。バードを中心に、クレメンス・ノン・パパ、フィリ…
個人的な話を少々。少し前に色々な(とりわけ精神的な)事情によってこれまで聴いてきたポップス曲がほとんど聴けなくなった。その頃、たまたま手を伸ばした合唱音楽に心を動かされて、それから合唱アルバムの鑑賞記録としてこのブログを書くようになった。…
ルネサンス・ポリフォニーを聴くことが日常的になってきて、様々な合唱団・アンサンブルの演奏を聴くようになった。それぞれに魅力があって好きな演奏も増えてきたが、最初に聴いたスティレ・アンティコには定期的に戻ってきたくなる。今回の一枚はビクトリ…
ザ・シックスティーンのパレストリーナシリーズの第五弾を聴いた。他にもたくさんアルバムを出しているのに、このシリーズばかり聴いているからシックスティーンといえばパレストリーナというイメージが強くなりつつある。今回のテーマは「ペンテコステ(聖…
オーウェン・リースが指揮を務めるイギリスの古楽アンサンブル・コントラプンクトゥスによる、17世紀から18世紀初頭までのイタリアのモテット作品を集めた一枚。アルバムのアートワークに作曲家名が列挙されているが、モンテヴェルディ(4曲)、レグレンツィ…
久しぶりのラフマニノフ。エストニア・フィルハーモニー室内合唱団(カスパルス・プトニンシュ指揮)の演奏で、『聖ヨハネス・クリソストムスの典礼』を聴いた。抜粋での録音(第15曲が抜けている & おそらく各曲もカットあり)。通しでしっかり聴いたことは…
ヨハネス・オケゲムはフランドル楽派初期に活躍した作曲家で、ジョスカンやオブレヒトのさらに前の世代である。Wikipediaを読んでみると、残っている作品は決して多くないが、その作曲の才は確かなものであり、ブルゴーニュ楽派とジョスカンらの橋渡し的な役…
後期ルネサンス・フランドル楽派の著名な作曲家の一人、オルランド・ディ・ラッソ(オルランドゥス・ラッスス)による教会音楽の中から聖母マリアの讃歌であるマニフィカト(Magnificat)を集めた一枚。2枚組2時間半というかなりのボリューム。フィリップ・…
サラ・ラットが指揮を務めるイギリスの新進気鋭の合唱団エコー・ヴォーカル・アンサンブルのデビューアルバム『Innocence』は幅広い年代・ジャンルの合唱作品を縦横無尽に辿る意欲的な一枚。12世紀に活躍したヒルデガルト・フォン・ビンゲンの歌から、ルネサ…
今回はルネサンス系の男声合唱グループであるジェズアルド・シックスのアルバム。『明けの明星』というタイトルだけだと、何のコンセプトのオムニバス・アルバムなのかが分からなかったのだが、どうやら「公現祭 epiphany」というクリスマスから12日後の祭日…
余談を少々。何かを評価することの根幹にあるのは「比較」である。比較なくして評価は成し得ない。その比較対象が、個人の内的基準なのか、客観的基準なのか、間主観的に定められた基準なのか、はたまた作曲家と作曲家か、合唱団と合唱団か、指揮者と指揮者…
今回はジョスカン・デ・プレと同時代の作曲家ハインリヒ・イザークのミサ曲『どうしたら楽しみを手に入れられるだろう』を中心に収めたチンクエチェント演奏の一枚。 ミサ『どうしたら楽しみを手に入れられるだろう(Missa Wohlauff gut Gsell von hinnen)…
フランドル楽派のルネサンス音楽を中心に録音を進めているチンクエチェントのアルバムを遡るように聴いている。今回は2021年にリリースされた、ヤコブ・ルニャールの二つのミサ曲と三つのモテットを録音した一枚を聴いた。 前半のミサ『キリストが復活した M…
今回はジョルジュ・リゲティの無伴奏合唱作品集。SWR ヴォーカルアンサンブルの演奏で、「無伴奏合唱曲全集」と銘打たれている。指揮は若手の気鋭ユヴァル・ワインバーグ。熱量のあるリゲティを楽しめるなかなかの一枚。過去にリゲティは数回聴いているが、…
スティレ・アンティコの過去作を聴いてみようと思い、今回は2019年リリースの『異国にて』を聴いた。エリザベス朝時代に「亡命」した作曲家の作品集である本作は、実際にイギリスから離れた作曲家やイギリスに残りながらも精神的には「異国」を生きるようだ…
今回はルートヴィヒ・ダーザーの二作のミサを収録したウエルガス・アンサンブル(パウル・ヴァン・ネーヴェル指揮)の一枚。昨日のチンクエチェントと連続でのダーザーである。 前半の6声ミサ『万物の連なりを越えて Missa Preter rerum seriem』は、ジョス…