チューリッヒ室内合唱団による2022年のアルバム「ブルックナー・スペクトラム1」。ここ数年のブルックナーのアルバムでも漁ってみようという気持ちになって選んだ一枚目。
パレストリーナの5声Ave Mariaから始まりブルックナーのAve Mariaで閉じられるこのアルバムは、ブルックナーを中心としながらも随所にパレストリーナが散りばめられている。ブルックナーにとってのパレストリーナがどんな存在なのかはよく知らないが、尊敬しており、インスピレーションを受けていたのだろうなとは聞いていてなんとなく感じるところがある2。
このアルバムのもう一つのポイントは、キンツラー作曲の三つの「ブリッジ」である。ブルックナーとブルックナー、またはパレストリーナとブルックナーをつなぐ現代曲が置かれ、二つの曲を始点と終点にしたまさに「スペクトラム」のようなブリッジが置かれている。これをどう考えるかは完全に好みだろう。面白い試みだとは思うが、私は少し苦手かもしれない3。
ブルックナーの10作は丁寧な仕上がりで良かったし、総合的には満足度の高い一枚であった。
Bruckner Spectrum
The Zurich Chamber Singers, Christian Erny
2022 / Berlin Classics (0302806BC)
Links: Presto, HMV