ブラームスの「愛の歌(ワルツ)」はブラームスの中でも一番好きな作品。この曲ほど「心が躍る」という言葉が合う音楽はないんじゃないかとずっと思っている。それは「楽しさ」だけでなく、様々な形の愛が乗っかって「躍る」ような感覚とでも言えよう1。
RIAS室内合唱団による2023年リリースのこの一枚は「愛の歌」と「新・愛の歌」の中に、ピアノデュオによるハンガリー舞曲集を挿入する構成。個人的には、曲集や組曲などの途中を別の曲で切られる構成が苦手なのだが、今回はピアノによるハンガリー舞曲集が「愛の歌」(新・愛の歌を含む)の良さを引き出すような役割を果たしていて、むしろ好みの構成だった。
「新・愛の歌」のソリストによる歌唱も圧倒的でかなり印象的だったが、やっぱり「愛の歌」が好きだなというのが勝ってしまって、そちらばかり印象に残っている。安定の名曲である No.6 や No.8 はさすがに絶品の演奏だったし、No.3 や No.17 あたりのテナーの美しさもさすがだったし、激情的な作品である No.16 の激しさも良かった。
Brahms: Complete Liebeslieder Walzer, Op. 52 & 65, Hungarian Dances
RIAS Kammerchor, Justin Doyle, Angela Gassenhuber, Philip Mayers (piano duo)
2023 (Harmonia Mundi: HMM902616)
参考リンク: Presto, eclassical, HMV
★★★★☆(2024/6/9)
- そもそも「心が躍る」という言葉が楽しみや期待という感情に限定されるのはなぜなんだろう、などと思ったり。もっと「心」はいろいろな踊り方をしているような気がする。↩