メシアン作曲の「5つのルシャン」「O sacrum convivium」と、ゴットヴァルト編曲のドビュッシー「アンジェラスの鐘(Les Angélus)」「雪の上の足跡(Des pas sur la neige)」、ラヴェル「ため息(Soupir)」、マーラー「Ich bin der Welt abhanden gekommen(リュッケルトの詩による5つの歌曲より)」を収めた一枚。
おなじみのベルニウス × シュトゥットガルト室内合唱団かなと思ってよく見ると、合唱団名に Vokalsolisten(ヴォーカルのソリスト)という言葉がついている。あえて訳すなら「シュトゥットガルト・ソロイスツ室内合唱団」とでもなるだろうか。聴いた印象はいつものシュトゥットガルト室内合唱団ではある。
合唱の可能性に挑戦していると言えるメシアンの難曲「5つのルシャン」は持ち前の高度な技術で安定感のある仕上がり。録音も良いので、とりあえずメシアンに触れるならこの一枚を選ぶのはアリではと思う。「O sacrum convivium」は最近いくつかのアルバムで聴いているが、やはりこの合唱団は上手いなぁと。
後半はゴットヴァルト。信頼と実績のゴットヴァルトだが(勝手に言ってる)、ここでも良い作品が並んでいる。ラヴェルのラストはなんというか衝撃的な「音」がして、人間の声ではないのではと疑ったくらい。メロディックなドビュッシーもたっぷりと歌われるマーラーも、このアルバムに鮮やかな彩りを与える。メシアンを聴くはずが気づけばメシアンの印象は薄めで、メシアンをおかずにしてゴットヴァルトを聴いている感覚。アルバムを通して聴いても42分と短めだが「もうちょっと聴きたい」くらいで終わるのがとてもちょうど良かった。今度はゴットヴァルトにフィーチャーしたアルバムも聴いてみようかな。
Olivier Messian: Cinq Rechants & O Sacrum Convivium & A-cappella-Werke von Debussy, Ravel und Mahler (Arr. Clytus Gottwald)
Vokalsolisten Kammerchor Stuttgart, Frieder Bernius
2021 Carus (CAR83523)
Presto
★★★☆☆(2024/6/14)