今回はオックスフォード・モードリン・カレッジ合唱団(マーク・ウィリアムズ指揮)による「夕刻」をテーマにした合唱作品集。ルネサンスと現代曲を中心に録音している。発声からは若さを感じるが(少年合唱団が入っているのだろう)、全体的な仕上がりは名門合唱団なだけあって熟練の域。フレーズの処理が巧みで、非常に丁寧に歌われている。
気になった曲についていくつか。ギボンズ作曲「Behold, thou hast made my days」は独唱の美しさが印象的だった。クリストファー・タイ作曲「Lord, let thy servant now depart」とジョン・シェパード作曲「Libera Ⅰ & Ⅱ」はハーモニーが絶品のルネサンス音楽で、少年合唱団の若い声が良いアクセントになっていたなと思う。間に配置されたグレイストン・アイヴズ作曲の「In pace」は、現代曲ながらルネサンス音楽の美しさの「反映」を感じさせた。
短いながらも圧巻の美しさだったのが、ピアース・コナー・ケネディ作曲「O nata lux」。他の(現代)曲とは異なる純粋さがあるが、ルネサンスともまた違う味わい。また、グスターヴ・ホルスト「Nunc dimittis」はさすがに良い演奏だったが、その娘であるイモージェン・ホルスト作曲の「A Hymne to Christ」はまさに隠れた名曲という感じ。その他、祈りをテーマにした曲が色々とみられたが、個人的にタヴナー「The Lord’s Prayer」がかなり好みだった。最後に、ヒューバート・パリー「Lord, let me know mine end」はラストにふさわしくスケール感のある大曲。予想していた以上に楽しめた一枚だった。
Peace I Leave With You - Music for the Evening Hour
Choir of Magdalen College Oxford, Mark Williams
2024 (Coro: COR16205)
Links: Presto, HMV, musicweb-itn.
★★★★☆(2024/7/13)