What Didn't Kill Us

娯楽を借りた生存記録

バラエティ月報 / 2024年7月

2024年7月に観たバラエティ番組の中から印象的だったものをピックアップして感想を書く定期ブログ。書くのが遅くなってしまった。ネタバレあり。

1. スッパイは成功のもとTV(7/13)

【世間はぶっちゃけどう思ってる? 2024渡部建 好感度調査】Abema
ABEMA のアンジャッシュ渡部冠番組。嘘のような本当の番組。初回はくりぃむ有田をゲストに迎えて、渡部の好感度調査を行うのだが、これがまぁ、この手の企画にしては驚いてしまうくらいの面白さ。乙武さんと混同されてるくだりなど調査結果も面白かったし、リアクションも面白かったし、有田はコメントがいちいち的確で、割とずっと笑って見ていた。

今後の渡部の方向性として提案していた「さておきコメンテーター」は絶対に面白いので何とか実現してほしい。あわせて「そもそもおじさんが長く居座っていることが嫌がられている」という有田の発言、それを自覚していながらもやれるだけやりきるという覚悟が見えてカッコよかった。

女性(特に既婚女性)からは嫌われている渡部だったが、男性人気は驚くほど高く、復帰しても良いという声も過半数を超える。その中で「復帰したがっている今の状態が1番面白い気がする」という意見はあまりにも核心を突きすぎていて一番笑ったポイント。

なお、東野幸治をゲストに迎えた第3回(7/27)も渡部の「ホンネ」を東野幸治が巧みに引き出していてこれまた面白かったのだが今回は割愛。

2. 寄生番組パラサイト(7/15, 7/22)

正式名称は「ヨソの番組乗っかりクイズ 寄生番組パラサイト」。「バスvs鉄道乗り継ぎ対決旅」の太川陽介さんをはじめ、他のテレ東番組のロケに潜入し、本編では使われていないロケ素材から独特すぎる切り口でクイズを作り、それにマヂラブとアルピーが挑むという斬新な番組。あまりにどうでもいいことをクイズにしてくるのだが、どの問題も一応「考える余地」はあるし、なぜか見入ってしまう。文章で書くと面白さが伝わる感じがしない。

個人的に 7/15 放送回の全乗っかりっぷりは特に面白かった。タコを何回咀嚼するかとか、船上で強い風に吹かれて変化する太川さんの髪型であんなに盛り上がって、もはや応援すらし始めちゃう番組を他に知らない。1問正解するごとの賞金が100万円という強気の姿勢だったので最後にどんなクイズを持ってくるのかと思ったら、テレ東史に残る謎の座組の番組『ゲーム王国』のMCの名前の聴き取りクイズ。制作陣があれを絶対に聴き取れない自信があるのも面白いし、集中しても全然聴き取れないのも面白いし、それが実際に放送されていたというのも面白い。マヂラブとアルピー、そして天の声(パンポテ谷)は良い仕事をしていた。これはまた観たいな。

3. 粗品チャンネル(7/18)

【カジノで1億勝負する粗品】YouTube
基本的にネタバレありで書いているブログではあるけれど、このYouTube動画だけはネタバレせずに書いておきたい。2時間のバカラ動画にこんなに見入ってしまうとは思わなかったし、粗品の魅力が良い方向に全てハマった圧巻のエンターテイメント。最初は単調な部分もあるが、途中から尻上がりに面白くなっていき、最後はもう目が離せず、一緒に叫びながら見てしまうくらい。テレビにはできない=YouTubeでしかできないことをやっているが、おそらく「YouTuber」にもできない、粗品というプロの芸人だからこそできることをやっている。そして、コメント欄に少し湧き上がっている「分かった気になってる何も分かってない」人たちを眺められるのもまた一興。「27時間テレビ」も色々と気になった点はあったとはいえ、やはり粗品が現在のお笑い界を牽引する力を持っていることを見せていたし、実はあんまり好きじゃないんだけど、やっぱりすごいなと再評価した一ヶ月だった。

4. 水曜日のダウンタウン(7/24)

【ドッキリの仕掛け人、モニタリング中にターゲットのエグい秘密知っちゃっても一旦は見て見ぬフリする説】
逆ドッキリという企画自体は散々やってきたわけだが、中身がしっかりハードだったのは水ダウらしい。パンサー尾形には後輩芸人のかたつむりピーチが尾形の自宅での嫌がらせ(尾形妻の下着泥棒を含む)を、きしたかの高野には後輩芸人のガクヅケ木田による楽屋泥棒を見てしまうという仕掛けを行う。水ダウはとにかく人選が絶妙で、尾形と高野という熱くてまっすぐで、(「あちこちオードリー」的に言えば)不器用芸人の二人だからこそ面白い。そしてピーチも木田も二人に疑われないレベルの怪演をできるのがすごかった。

尾形パートの方では下着泥棒を責めるあたりで普通なら言わないようなことを言いまくってたあたりでめちゃくちゃ笑った。一方、高野パートでは「TBSの隠蔽体質」という水ダウらしい悪趣味な演出も印象的だったものの、藤井さんらしからぬ?ハートフルな雰囲気に持っていったのが印象に残っている。尾形もちゃんと良い先輩らしさを見せていたけれど、その後の高野がちょっと良い先輩すぎたな。もはやバラエティのキレじゃなかった(愛のこもった)殴打、上田晋也がサンシャイン池崎にキレたやつのことをなぜか思い出した。人が本気で感情を見せる瞬間って笑うかは別にして「面白い」んだよなぁ。

5. アメトーーク!(7/25)

【東京で生まれ育った芸人】
細かい見どころが多く、個人的な推し回となった。おぎやはぎ矢作が定期的に場をごちゃつかせたり強いフレーズを残したりすることで一番見どころを作っていたが、全体としても「団体芸ができない」という団体芸、或いは「東京出身者はあるあるが揃わない」というあるあるを縦軸にしながら、様々な角度から東京出身者が逆に「普通じゃない」ところを炙り出していたのが面白かった。そもそも東京出身者で東京という街に愛着があったり、東京らしさというものを明確に言える人がどれくらいいるんだろうみたいなことは思う。場所によってあまりにも違いすぎるし、変化も激しいから年代によってあまりに違いすぎるんだよなぁ。

ツッコミ文化については以前NHKで放送された『笑いの正体』を思い出させるなと思ったり、東京に「染まる」という言動はさも加害者扱いしてる感じがするとか、東京出身者はタワマンに憧れないとか、結構クリティカルな話も多かったんだけど、個人的に、ラストに地元凱旋ロケを東京芸人がやってみたら、サルゴリラ児玉が結局「富士そば」に行ったというところが変に共感できて一番印象に残った。富士そば、学生時代に地味によく行ったんだよなぁ。


次点(ブラリモウドク / 永野に絶対来ないシゴト / 有吉クイズ / ラヴィット / さらば青春の光 YouTube)

①先月の『耳の穴かっぽじって聞け!』に登場した濱田祐太郎が藤崎マーケットのトキとともに街ブラする番組『濱田祐太郎のブラリモウドク』が放送された。盲目の芸人が街ブラをするとどうなるか、という観点からも色々と面白いところはあったのだが、特に印象的だったのは第3回(7/13放送)。いきなり射的に連れて行き、スイカ割り状態で射的に挑戦したところから驚いたが、その後にクライミングに挑戦するところで意外にも濱田がすいすい登っていってしまうところが妙に面白かった。爆発力はそれほどという感じながら、絶妙な斬れ味のある街ブラでなかなか面白かった。

②3回限定で放送された『永野に絶対来ないシゴト』も印象に残っている。初回(6/28)は女性芸能人を呼んでのひな壇トークMCをやり、永野らしさはよく出ていた。第2回(7/5)はバラエティ慣れしている2組の夫婦タレントを呼び、JOYを邪険に扱ってボラギノールのCMみたいにしたり、ジャンポケ太田に近藤千尋への謝罪の「さわり」をやらせて、それをオカズにみたいなことを言ってみたりとやりたい放題。第3回(7/29)はグラドルの東雲うみと一緒に「青空レストラン」的なロケ。第3回はスタッフとの番組づくりの裏側的な面での笑いと、協力してくださったパクチー農家の方との温かいやりとり面での笑い、そして東雲うみを巻き込んだエッチなお笑いを混ぜこぜにしていて、特に「見たことがない」番組になっており、スタッフのラッセンを放送するところと、パクチー視点とかいう明らかに古いお笑いすぎる映像が個人的にツボだった。とはいえ、永野が新しいことをやってくれたというよりは永野がここ1〜2年の「永野」をやった以上の番組ではなかったとも思う。そのあたりは『伊集院光&佐久間宣行の勝手にテレ東批評』の7/27放送回でも永野自身が自虐的に述べていたので、これ以上は言わない。あと、細かくは書かないけれど、陣内vs永野が「向上委員会」を出て何度も何度も擦られていた一ヶ月だったのも印象的。永野はけっこう場所によって言うことが違うのが永野だなぁと。

③今月は『有吉クイズ』もハマる回が多かった。まず、7/7放送回はマリック&どぶろっくが登場してひたすら下ネタを連発。ゆうちゃみやハシヤスメも巻き込まれていたので見る人が見たらセクハラと騒がれそうな内容だが、何も考えずにゲラゲラと笑ってしまったし、下ネタってやっぱり面白いなぁと。翌週の7/14放送回は催眠術をかけて体力競技をサポートするという企画。何となく予想できたことだが、全く催眠にかからない井口がそれでも催眠がかかったテイで色んなことを頑張る姿が面白かった。シュワちゃんの引き出しがなさすぎる和田まんじゅうも印象に残っている。

『ラヴィット!・夜明けのラヴィット!』はシーズンレギュラーが入れ替わった。個人的に注目したいのは櫻坂46の中嶋優月(ゆーづ)の再起用。特技に挑戦してもなぜか上手くいかないという、持ってるんだか持ってないんだか分からない姿を見せ続けてきたわけだが、今月も挑戦系は見事にすべて失敗。企画前に無駄にミニコントもやって、それでも失敗し続けて「嘘つきゆーづ」というあだ名から発展し、結果的に最近のラヴィットでやけに重宝されているかけおち・青木マッチョとの「セット売り」だとか「優月マッチョ」と言われるようになってしまったのが面白かった。アイドルの面白さってこれくらいがなんだかんだ良いんだよなぁとは改めて思っている。

今月のもう一つのハイライトは「ビリビリ人狼ゲーム」で明らかに本気のキレ顔を見せた若槻千夏。山添じゃないけどそのシーンだけ何度も見てしまうくらい爆笑した。一回目のビリビリであんだけキレてたのに、その後もう一回若槻千夏に喰らわせたのはなかなかバラエティだったな。人が本気で怒ってる瞬間ってなんでこんなに面白いんだろう。

さらば青春の光 Official Youtube Channel。まず、7/13配信の「石丸チャレンジ」は、森田によるにわかすぎる石丸構文とブクロが石丸をあまりに知らなすぎるという状況もあって、絶妙に低クオリティだったのが面白かった。石丸いじりは、ふかわりょうの「サブウェイ注文できるかな」が傑作だったこともあって、むしろこのくらいのクオリティだからこそ良かった気もする。7/27配信の「花田優一イントロドン2024」はAIに歌詞を入力することで作曲させたものを使ってイントロドンをする企画。特に後半は伝説の花田優一とMatt の楽曲でイントロドンを。AIで作曲しても似たような曲が出来上がってしまったところにものすごくアイロニカルなものを感じてしまったな。