ロンドン・キングズ・カレッジ合唱団のラフマニノフ『徹夜祷』。ジョゼフ・フォート指揮。私個人としてこの曲をかなり好きな割には、意外にもこのブログでは『徹夜祷』をそこまで取り上げていなかった。Apple Music Classical の検索では、2023年のリリースだと、以前取り上げているThe Clarion Choirと未聴のエカテリンブルク・フィルハーモニーのアルバムも見つけた。
一曲目を聴いてすぐに音楽のクリアさに驚く。録音状態が良いということもあるが、何より合唱演奏がきわめてクリアなのだ。明瞭な仕上がりは最終曲まで続き、フレージングやダイナミクスなども丁寧に仕上がっている。基本的にどの楽曲もダラダラとせずにスッキリと歌われており、総演奏時間も他の録音よりかなり短い(53分)。ロシア合唱らしい土臭さはなく、逆にスッキリとした方向に振り切ったような仕上がりは個性的である。ハーモニーにも重厚感は感じられる。決して悪くない演奏なのだが、私の好んでいるラトビア放送合唱団&クラーヴァ版やコールヴェルク・ルール&ヘルガート版などと比べると何かが物足りない感じもあって。単純にもっと大きく味付けされた演奏が好み。
Rachmaninoff: Vespers - All-Night Vigil
The Choir of King's College, London, Joseph Fort, Caitlin Goreing, Chris O'Leary
2023 / Delphian / DCD34296
Links: Presto, hmv
★★★☆☆(2024/8/19)