What Didn't Kill Us

生存記録。レビューではなく日記。

最近聴いた音楽 / 24-09-05

最近(新しく)聴いたポップス音楽の備忘録。ハイライトはあら恋(あらかじめ決められた恋人たちへ)による曽我部恵一のDubアルバム。

曽我部恵一 VS あらかじめ決められた恋人たちへ『HAZARD OF DUB』/曽我部恵一『ハザードオブラブ』

曽我部恵一の2023年リリース作『ハザードオブラブ』のDubアルバム「HAZARD OF DUB」。コラボしたのは「あら恋」ことあらかじめ決められた恋人たちへ。原アルバムも聴いていなければ、あら恋のことも名前をなんとなく聞いたことがあるだけという状態。とりあえず今回は原アルバムとDubアルバムを交互に並行して聴いていった。

まず、「ハザードオブラブ」の時点でトラックがもう見事なまでに出来上がってしまっている。曽我部恵一、まだ知ってからの歴が浅いのだが、その歌を聴いているともうずっとそばにいてくれたかのような優しさを感じている。あら恋によるDubはいかに崩すかを聴いていくような印象だった。しっとりめの曲が琴線に触れる感覚があって「観覧車」「バラード気分」「逃げ水」「普通の日」あたりに特に心惹かれた。「逃げ水」の歌詞とか最高だよなぁ。直接的なことを言わずに分かる人には分かるような直接的なことを歌い上げる。「運命とたたかえ」の「生きる」という言葉とか「仮免」の「上達したい」という言葉に妙な力を感じたりもした。

Dub曲は楽曲ごとに様々なアレンジメントが加えられていて、ある程度好みは分かれるところだと思う。原曲が割と素朴なトラックが多めということもあってか、原曲の色を多少残しながらも大胆に色んなことをやっているところが多い印象。Dubアルバムなんてまず滅多に聴かないのだが面白いなと。たとえば「メタモルフォーゼDUB」「仮免DUB」は楽曲のボリュームを大胆に増やして好き勝手にやっているが、蛇足なんじゃないかという不安を一掃するような見事な仕上がり。「Mirage(逃げ水)」はアレンジがじめっとした夏の「澱み」のような感じが出ていた。ただ、Dubを聴いていると、あぁやっぱり原曲の感じも捨て難いなとはなる。この二枚をどちらも聞くことでしか見えてこない景色が間違いなくあるな。相補的に音楽が模られている。【2024/8, 2023】

Hazard of Dub

Hazard of Dub

  • 曽我部恵一 VS あらかじめ決められた恋人たちへ
  • オルタナティブ
  • ¥1681
Hazard of Love

Hazard of Love

  • 曽我部恵一
  • J-Pop
  • ¥1528

Ghost like girlfriend『PM32000:00』

巧みなトラックメイクには唸らされたし、リリックの韻もキレイなので聴き心地が良いし、ハイレベルな作品だと頭では分かるのだが、特に前半はめちゃくちゃ刺さるという感じもなく。相性の問題かな。中盤から後半にかけて「退屈」と「ミスユー!」、あとは「全知全能」あたりの曲は耳になじむ感じも。何度か聴いていったら変わってくるかも。【2024/8】

退屈だったはずの日々さえ煌めいている
治したいことと戻りたいことが瞬いている
今もまだ

Ghost like girlfriend「退屈」

Pm32000:00

Pm32000:00

  • Ghost like girlfriend
  • オルタナティブ
  • ¥1681

田中喉笛交響楽団『sample sale』

the bercedes menzの田中喉笛による「(現状)一人オーケストラ」である田中喉笛交響楽団によるアルバム。フィーチャリング作品が中心で、あんまり知らない名前が多いなと思った中で、「遠すぎた春」などに出てくる内藤さちの声と歌い方がいいなと思ったら、kurayamisakaのヴォーカルだと知った。言われてみたら普通に分かったな。ちなみに「diaspora!!!」のねぎしのはんはsidenerdsのGt.らしい。内藤さちの歌唱曲ではラストに収録された「あーもう」の耳に残る感じも良い。この3曲はかなり好みだな。

ベルセデスも伝統的なJ-POPや邦ロックのスタイルを踏襲しながら遊んでいくタイプの作品が多いイメージを勝手に抱いているが、本作も多彩なジャンルの作品で「遊んでいる」。ハード系の「world's end classics」はガシャガシャとしたノイジーなサウンドに熱さを覚える。歌謡曲テイストの「横濱真剣恋哀歌」は野太い歌唱が印象的。その直後の「little black dress」で高速エレクトロニックチューンで、Perfumeあたりからの継承を感じた。【2024/6】

Sample Sale

Sample Sale

  • 田中喉笛交響楽団
  • J-Pop
  • ¥1375

えんぷてい『TIME』

一言で言うなら新しくも懐かしい。聴いていてゆらゆら帝国や坂本慎太郎にも通じるような脱力感を感じるなと思ったら、バンド名は「空洞です」が関係していると知って納得した。スピッツとかバンプなど他のJ-ロックのバンドの香りもするし、著名なJ-ロックの系譜に連なっている気がする。全体的に良かったが、中でも「琥珀」は一聴して良い曲だなと思った。【2024/3】

TIME

TIME

  • えんぷてい
  • オルタナティブ
  • ¥1528

トリプルファイヤー『スキルアップ』

トラックがひたすらに良い。そのトラックの上でメッセージ性があるんだかないんだかよくわからないような内容のことを、トラックにぴったりと合っているようなズレてしまって合っていないような、そんな感じで歌唱されるのがめちゃくちゃ面白いし、妙に良い心地がする。ほとんどインスト音楽のような気持ちで聴いていても、ときどき歌詞の言葉が耳に残る感じがある。「カモン」とかまさにだけど、脱力感と熱量が隣り合わせにあるような感じが癖になるんだよなぁ。【2014】

スキルアップ

スキルアップ

  • トリプルファイヤー
  • ロック
  • ¥1681