What Didn't Kill Us

生存記録。大したこと書いてないので。

A Watchful Gaze / The Sixteen

最近は妙にシックスティーンが耳に馴染む感じがあって、パレストリーナを順に聴いていくだけでなく新しい作品から遡るような聴き方もしている。今回聴いたのはバード没後400年(2023年)を記念したアルバム。バードを中心に、クレメンス・ノン・パパ、フィリップ・デ・モンテ、フィリップ・ファン・ヴィルダーといったバードよりも少し前の年代から同年代に活躍してバードに影響を与えた作曲家の作品を数曲、そしてブルガリア出身の気鋭の作曲家ドブリンカ・タバコヴァに委嘱された現代的なポリフォニーが2曲収められている。

アルバム上はタバコヴァの2曲がなくても単にルネサンス・ポリフォニー集として成立しそうなくらいルネサンス・ポリフォニーだけでも盛りだくさんだが、このタバコヴァ作の2曲が予想以上に良かった。特に「Arise Lord into Thy Rest」はきわめて技巧的な現代曲にもかかわらず、バードのモチーフを引用しているからか、妙にバードのポリフォニーに通じるものを感じられて面白いなと感じた。

また、バード作品の中でもとりわけ重厚さのある「悲しみと苦悩が(Tristitia et anxietas)」がクレメンス・ノン・パパの同名作品と並べられていたり、デ・モンテ「バビロンの川のほとりに(Super flumina Babylonis)」からバード「異国の地で主なる歌を歌えようか?(Quomodo cantabimus)」という「おなじみの」流れがあったり(個人的にこの曲はこの流れでしか聴いたことがない)、バードを他の作曲家の作品の中に位置づけるプログラムのおかげで、バードの音楽の特徴について理解して楽しみやすかったところはある。

地味にバード作品に触れるのはちょっと久しぶりだったこともあって充分に楽しめた。


A Watchful Gaze
The Sixteen, Harry Christophers
2023 / Coro / COR16195
Links: Presto, hmv, Booklet(pdf)
★★★★☆(2024/8/20)

A Watchful Gaze

A Watchful Gaze

  • ザ・シックスティーン & ハリー・クリストファーズ
  • クラシック
  • ¥1681