2024年8月に観たバラエティ番組の中から気になった作品を振り返る。ネタバレあり。振り返るという作業はめんどくさいが、いつか読み返すと信じて今月も書いた。書き終えてみれば9000字程度の原稿になってしまった。完全にフワちゃんと水ダウのせい。バラエティを楽しみながらも悶々とさせられたこの一ヶ月の気持ちが入ってしまっている。
なお、本文中の画像はすべて各番組からのスクリーンショットで、引用目的で使用しています。
- 1. バクっと令和問題(8/11, テレ朝)
- 2. クイズ タイムリープ(8/11, 日テレ)
- 3. チャンスの時間(8/25, ABEMA)
- 4. さんまさん!ここで問題です~解答者・明石家さんまVSクイズさん~(8/29, テレ東)
- 5. さらば青春の光 Official YouTube Channel(8/17, YouTube)ほか
- 次点(見取り図じゃん / 放送作家松田好花 / テレビ千鳥 / 有吉クイズ / 水曜日のダウンタウン)
1. バクっと令和問題(8/11, テレ朝)
令和ロマン×爆笑問題×山崎怜奈。石丸さんとの一件で無駄に有名になってしまった(知名度も上がった分、アンチも増えた)山崎怜奈にズカズカと石丸ネタをぶっ込んでいく太田さんが相変わらず凄い。番組としては、昭和の文化と令和の文化を比較していくというどこかで見たことがあるフォーマットだったが、VTRの作り方に絶妙な「悪意」があったり、そうかと思ったらVTRに登場した人を「客席に」呼んで良い距離感を作っていたり、コメントもどちらかを一方的に肯定・否定するわけではなく、それでも的確に斬っていくというのが上手すぎて、ちょっと面白さに感動してしまうくらいだった。個人的にツボだったのは、令和の恋愛事情はDMという話の流れでの「ウエストランド井口が芸人の意識を高めた」という総括。
令和ロマンが関わっている最近のテレビバラエティ番組、この番組に限らず『娯楽がたり』『みんなテレビ』『犬とラーメンと赤ちゃん』『クレバーなクレーマー』など、地味に良質なコンテンツが多い印象はある。令和ロマンの力もあるだろうが、作り手も物を申す若手世代に対して本気になってるところがあるのかなと邪推している部分がある。その中でも今回の番組は爆笑問題と令和ロマン、そこに山崎怜奈も加わった掛け合いの見事さも相まって、トップクラスに良かったのではないか。
2. クイズ タイムリープ(8/11, 日テレ)
劇団ひとり、霜降りせいや、ヒコロヒー、ファーストサマーウイカ、Travis宮近の5人が最新のCGやAI技術を駆使してなつかしのクイズ番組「クイズ世界はSHOW by ショーバイ!!」「マジカル頭脳パワー!!」「アメリカ横断ウルトラクイズ」に参戦するという番組。懐古的でありながら近未来的。過去の偉大な遺産を使っていながら、新鮮な面白さがある。なんだこの番組はというのが率直な感想だった。ファーストサマーウイカという名前が異様に「浮いている」感じ、板東英二とヒコロヒーが絡むという感動、せいやの萎縮しながら頑張ってボケる場面など、なんか不思議な気持ちになりながら見たし、そもそもクイズがちゃんと面白い。どうやって撮ってるんだろうとか色んなことが気になってしまうし、著作権とか出演料とかはどうなってるのかなとか、AIってここまで進化してるのかとか、でも人間の演出力の賜物だよなとも思ったり、色んなことを考えてしまう番組だったのだが、頭を空っぽにして笑って楽しむこともできる稀有な番組だった。インタビュー記事も補足的に。
○最新技術×ノスタルジーの融合に反響 日テレ名クイズ番組に現代タレントが挑戦『クイズタイムリープ』の舞台裏 | マイナビニュース
3. チャンスの時間(8/25, ABEMA)
【千鳥フル無視のダイアン津田放置プレイ&きしたかの高野激変】(ABEMA)
渋谷凪咲がダイアンのことを「お笑いの完全体」と評して笑いが起こる時代はもう終わったのではないか。本当に「お笑いの完全体」へと向かっているような、そんな爆発力のあるダイアン津田を見ることができた。今回の企画は「イジられる快感を取り戻すために、30分間津田がいないというテイで進行する」というイジりに津田がどうリアクションするかを見るのだが、これがまぁ面白かった。キレのあるツッコミだけでなく、めちゃくちゃ低く飛び跳ねたり、ボードに乗って動いてみたり、挙句の果てにはセクハラ発言したり、行動のバリエーションもなんだかんだ豊かだったし、おもちゃにされながらも「自分から」笑いをとり続けていたのか印象的だった。ライス関町がセクハラを食い止めるために指フェラ暴露をするところや、大悟がテレビで話したことでそれに心当たりのある女の子から連絡が来なくなってしまったことを顔を真っ赤にしながら言うところとか、面白かったところは色々あるのだが、個人的ハイライトは色々あるのだが女と男・市川が津田の言葉に応答してしまったところで間髪入れずにツッコミを入れたシーン。市川はしくじっているのだが、津田のツッコミの斬れ味が良すぎて、逆に完璧なシーンだった。
後半はきしたかの高野の髪型を考えるという企画。高野もだいぶ跳ねてきたところだが、津田と比べたときになんだかんだ足りないんだよなぁと思うところもあって(好きだからこそもどかしい)。『ゴッドタン』のオズワルド伊藤とのやりとりもちょっと足りないんだよなぁ。最後に本当に髪を剃って登場して、しっかり変な感じになるのが高野だなぁと思いながら、でもそこをちゃんと落とす大悟がさすがだった。ハイライトは他人の髪型の喩えとしては最悪すぎるノブの一言。
4. さんまさん!ここで問題です~解答者・明石家さんまVSクイズさん~(8/29, テレ東)
27時間テレビあたりから明石家さんまの声が出なくなって、8月にはさんま御殿ではさんまの発言にだけテロップが出たり、向上委員会では新たにフリップ芸をやったり、なんてことが起こったりなんてことがあった。まだ新しいお笑いができるのを見て、さんまさん「現役バリバリ」すぎるなと思っている中でのテレビ東京での特番。喧嘩別れから40年ぶりのテレ東スタジオという部分を強調しすぎていたきらいもあるが(視聴者としてこれがどれほどエモい話かと言われると微妙)、中身は雑多なバラエティクイズを一つに詰め込んだ、色んな意味で「なんでもあり」の面白さだった。
印象的だったシーンを列挙していくと「バク宙手裏剣」が失敗する流れでの捌き、5歳のゴルファーの子との対決でのバラエティ的な立ち振る舞いと最終的に対決構図から協力構図へとシフトしたシーン、スナックのママさん3人の前でホストのようになるさんまさん、バラエティ御用達の足ツボ師・與那嶺先生vsさんま、浜口京子、出川。特に、與那嶺先生vsさんまという最初で最後であろう映像とその後にめちゃくちゃ頑張る浜口京子の姿は印象的だった。
そして、ラストはNinki KidsのドレッシングクイズとARASISMのフォークリフトクイズ。先月の『寄生番組パラサイト』とフォーマットは同じで、どこまでもしょうもないクイズをやる。オリンピアンとかまで登場した番組というのをフリに使っているわけだけど、それだけじゃないんだよな。なんでこんなに面白かったんだろう。涙が出るほど笑い続けた。
この整いきっていない雑多さこそが「テレ東らしい」なと思うところもあるし、この番組の一番の良さだったかなと思っている。ライブ感というか、お祭り感というか、そういうのって整理された進行ではないからこそ生まれたりするもので。さんまさんがはしゃいでいるだけではなく、なんだかんだ麒麟・川島もはしゃぎ気味でキレッキレだったし(しゃべりすぎた女は快進だった)、霜降りせいやとかヒコロヒーあたりも良い働きをしていたのが印象的。色々な意味で歴史的な名番組だったと思う。
5. さらば青春の光 Official YouTube Channel(8/17, YouTube)ほか
【フワちゃんについて】(YouTube)
この件についてはたっぷり触れたかったので、他の話も交えながら少し長めに書いた。
Twitter(X)などインターネット空間が炎上と誹謗中傷と攻撃ばかり目立つ「魔境」となって久しいが、今月はフワちゃんのやす子に対するツイートが特に大騒ぎとなった。フワちゃんのツイートも誹謗中傷に区分されるだろうが、それに伴ってフワちゃんや関係者を正義ヅラして悪く言ったり「批判」したりすることも構造上「誹謗中傷」になってしまうことで、たくさんの誹謗中傷が溢れかえっていたのが印象深い。
今月は「誹謗中傷」というテーマに踏み込む企画などもいくつか見られた。たとえば『耳の穴かっぽじって聞け!』(8/13, テレ朝)はラランド・ニシダを迎えて芸能人に対する誹謗中傷について考え、そこそこ本気の問題提起がみられた回であった。ラランドニシダのYouTube(うんこチャンネル: 8/7)では、どこから見つけてきたのかホンモノの「ヤフコメ民」を呼んで、どんなことを考えているのか聞いており、エンタメとしても誹謗中傷の問題を考える上でも面白かった(YouTube)。テンプレのように「思ったことを書いてるだけ」と言っていて爆笑してしまった。結婚発表の際に赤の他人から色々言われた奥森皐月もこの件についていい文章を書いていたので、一応触れておきたい(あのときも、みなみかわとスーパー3助のラジオを変に持ち上げる気持ち悪い界隈があったなぁ…)。
また、フワちゃん騒動をいち早くネタにしたのは粗品だったが、個人的にはその後に出たさらばのYouTubeが面白かった。「フワちゃんについて」というタイトル、ブクロが謝罪するかのようなサムネを持ってきて、中身は実質「友達のタメ口を注意しよう」という内容。ネットが深刻な感じで怒っているのを横目に「それは当事者同士でやればいいこと」と言い切り、意味もよくわからない延焼(事前に注意してない芸能界が悪いという暴論)の部分をネタにしたのが秀逸。誹謗中傷など、この件の本質には何一つ踏み込まず、あんまり関係ないところで遊んでいたのが良かった。
信子、ゆうちゃみが企画の「王道」の映像をそれぞれ示し、ブクロ×こてつの変化球を経て、森田×野呂佳代の大変化球がラジオまで巻き込んでの展開を生み、最後は安定のライス関町で落とす。こうやって言語化するのも野暮だが、ここまで上手くいくかという内容だった。リピートしたが何度でも笑える。変な切り取りでネットニュースになり、ヤフコメで本気にした人が怒ってコメントするという滑稽な二次被害まで起きたのも面白かった。動画とはおそらく関係ないが、森田からBKBに対してフワちゃんのツイートをパロディしていたのも記憶に残っている。
後述の水ダウの話にもつながるが、何かを茶化されることが許せない人、笑えない人もいるだろうし、それを否定するつもりはない。だが、茶化すお笑いは全てがダメかのような極論には明確に抗いたい。「タメ口」問題にもそのまま通じるが、大抵のことは「程度問題」で「ケースバイケース」だ。全てが許されるわけでもなければ、全てが許されないわけでもない。白か黒かで思考している時点で相当愚かしいが、残念ながらネット空間は白黒思考ばかり跋扈しているし、炎上は全てを白黒にしてしまう。グレーは黒と言い切る人がたくさん現れ、白か黒かのバトルが起こる。そんな中で確実な白で安全を確保するのではなく「グレーゾーンを遊ぶ」人たちのことを応援したい。本当はこんなことをわざわざ言語化せずにただ面白いと言うだけでも良いと思うが、言葉にしておかないと白か黒かという思考に侵食されそうな気もしてくる。この部分だけでも明確にしておきたい。お笑いは白黒の二色では語れない。
次点(見取り図じゃん / 放送作家松田好花 / テレビ千鳥 / 有吉クイズ / 水曜日のダウンタウン)
①『見取り図じゃん』(8/5, 8/12, テレ朝)は、「大きい声では言えないけど…小さい声なら言える会」。定期的に観ているわけではないので、過去の同企画は見ていないが、男子会のノリという感じが面白かった。「霜降りバラエティの後継がムカつく」「松本さん見れないの悲しくないですか?」「謹慎って意味ありますか?」、さらには「俳優より芸人の方が上ですよね?」という過激な発言まで飛び交う中、個人的にツボだったのはロコディ堂前の「トトロのメイちゃんってムカつかないですか?」という発言。いいじゃんかと思いながらも、色々と心当たりがありすぎて爆笑してしまった。
②日向坂46の松田好花が放送作家となって企画立案・プレゼンをし、自らが演者として参加した「放送作家松田好花」(8/10, テレ東)。放送作家の先輩としてサトミツ、見届け人がオードリーと、見事なまでに内輪向け番組のような趣もあるが、結果的にそれを誰かさんのせいで無茶苦茶に破壊した良い番組だったと思う。
松田好花が挑んだ「嘘を本当にするテレビ」。端的に言えば、ランジャタイ(国崎)が書いた嘘のエピソードトークを本当に実行する企画。国崎に依頼したのが全ての間違いであり、色々と崩壊しまくっているのだが、国崎に依頼したからこそ、番組から滲み出る「内輪感」を打ち破ったとも言えるし、二度と撮れない映像になったのは間違いない。
番組の中身に関しては、ナダルのくだりとか特に企画が全く成立しなくてネタバラシしてヤラセに進んでいったり、一般の方まで巻き込んでとんでもない空気の映像を撮ったり、ランジャタイのネタを全力でやり通したり、頑張ったなぁ…という内容。ランジャタイのおもちゃになった松田好花の奮闘っぷりはちゃんと面白くて、某伊藤の一件で悶々としている1人のランジャタイファンとしては嬉しかった。
③『テレビ千鳥』(8/15, 8/22, テレ朝)は稀有な回だった。「テストで100点取りたいんじゃ!!」というテーマでまずは実力チェックということで千鳥・大悟が小学生の算数の問題に挑む企画。割り算の筆算のやり方やら分数の計算のやり方やら色々なことを覚えていないのだが、手持ちの武器(九九までの基本演算)を使って試行錯誤を重ねて少しずつ答えを導いていく姿が面白かった。真面目な見方をすると、大悟の行動で特に印象的だったのは、①分数や小数を視覚化することによって問題の状況を視覚的に現実に近づけて把握するところ、②演算結果について「あり得るかあり得ないか」ということを考えていたところ、の二点。特に②によって繰り上がりや繰り下がりのミスを回避していくあたりは見事。時間は有限なので効率的に問題解決をしていくのは重要だが、公式を暗記するばかりでその公式の本質的な意味を忘れてしまっているのではないか、そんな問いかけすら読み取れるような面白い回だったし、算数・数学が苦手な人を勇気づけるような内容だったのではと思う。
④『有吉クイズ』(8/18, テレ朝)は50歳目前を迎えた有吉がやりたかったこととして、ハナコ秋山とパンストを購入し、下着を着用せずにパンストを履くという謎の行為があったり、その後にパンストとパンストが擦れ合う感覚を楽しみながらグラップリングする映像が流れた。あまりにも見たことがない映像すぎて、今月観たバラエティの中でもトップレベルにインパクトがあった。パンストって芸人は「おもしろ」で使うことのあるアイテムだが、この映像はもはやそういうことですらなかった。本気でパンストとパンストが擦れ合う感覚を楽しみたいという映像だった。並の芸人ならうるさくツッコミそうだが、秋山はリアクションを取るものの決してうるさいツッコミをしなかったのも良かった。文章で書くと絶対に伝わらないのだが、この映像でしか味わえない「面白さ」があった。
⑤『水曜日のダウンタウン』(TBS)は妙に攻めた内容の説が多い一ヶ月だった。8/14放送回は不義理をした人に謝りに行くロケ、8/21放送回はさらばファミリー(さらば森田、ライス関町、岡野、しんいちなど)が揃って出演した「終了デマ拡散王」決定戦、8/28放送回はコロナ対策現役バリバリの現場があっても従わざるを得ない説&現在進行形でのド派手な嘘ついてる人を探すという企画。特に8/28放送回が大炎上。久々にここまで燃えてるのを見た。
新型コロナに関してのこの番組のスタンスは7/31放送回(あかつがコロナ対策のアクリル板を集めて船を作り、津軽海峡を横断する)あたりから「アフターコロナ」を強調しているきらいがあり、8/21放送回でも「お見くろん芸人しんいち」などと新型コロナをもじっていじっていたあたりで、見つかったらやばそうとは思っていたが、見事に8/28放送回は予告から医療従事者や後遺症で苦しんでいる人、犠牲者のご遺族、さらには反対側のコロナ対策反対論者にも「見つかってしまい」、対立が生まれ、一時期はハッシュタグ運動なども盛り上がっていた。
小声のように文字を小さくして書いておくが(今回の番組に批判的な人はまず読まない方がいい)、8/28放送回に関する私のスタンスは「嫌な気持ちになった人は嫌な気持ちになっただろうし、抗議を入れる人たちのことを否定しないが、私は特に怒っていないので連帯もしない」でしかない。コロナ対策反対論者に関してはそもそもあの程度の内容で喜んでいるようでは論外。揃いも揃ってバラエティ番組を本気に、或いは過大評価しすぎだろう。
こういう話は「嫌な気持ちになった」と言われてしまえば反論可能性がない。今回の放送がバラエティの現場で行われていた、もはや「クレーマー対応」でしかないような過去のコロナ対策を茶化す内容でしかなく、医療現場が今も懸命なコロナ対応をしていることを笑っているわけではなかったと弁明しても(現場というワードは番組上は明らかにバラエティに限定されたものだったが、実際にはそこが多様に解釈された印象)、味覚障害に関するくだりが味覚障害そのものを笑ったのではなく、味やにおいがわからない芸能人に対してなんでも後遺症の味覚障害では?と疑う人が出てくる当時の風潮を笑ったものだと弁明しても、それを医療従事者本人や後遺症で苦しむ人たちが「笑われている」と感じたのであればその主観をそれ以上否定することはできない。ただし、裏を返せば、どれだけ嫌な気持ちになったとしても「そこに客観性を持たせていくことは難しい」ので、主観でしかないものを客観的に許されないかのような議論に持っていくのは容易ではない。嫌なら嫌と言えばいいし、つまらないものはつまらないと言えばいいし、嫌なものを嫌でしたと抗議する意味もある。だが、「このような表現は許されない」という一種の客観性を帯びた議論に飛躍するのが早すぎる人が散見された。人間は容易に自分の主観的な意見でしかないものを客観的なものだと誤解する。SNSでは周囲も同じような意見であることを見て、より客観的であるかのような誤解をする。さらに人は対立する他者は客観的ではない(自分の方が客観的である)と考えるバイアスも有している。そういうしくみを自覚した上で、それでも客観的であろうとするためには相当な努力が必要であろう。まぁ、この件に関しては主観的で何が悪いのかとも思うけれど。余談ながら、スポンサー不買運動やハッシュタグ運動のような行為も言論の一種ではあろうが、すぐにそういうのに飛びついてしまうのがきわめてfanaticだなと冷めた目線で見てしまうところはあった。これでも日頃から感染対策はしているし、エビデンスベーストな取り組みが重要であるというスタンスだが、人間社会のmedicalizationが進んでいることや、日常生活を医療が支配するかのような(特にコロナ初期の)風潮には明確に反抗したいと思っているところもある。私怨もあって鬱憤を晴らすようにあれこれ書いてしまったが、この文章も当然ながらほとんど主観に過ぎないのであしからず。長い余談終わり。
このコロナ対策の説に関しては、ハレーションを起こすことが明白なトピックを持ってきた割に、いつも通りのフォーマットでしかなかった上、全体的に文句も言わずに引き受けてしまったこともあって踏み込んだ演出もできず、さほど面白くもなかったのが致命的だったかなと。渋谷凪咲が一服しているところが一番面白かったんじゃダメだよなぁ。炎上したことよりもそこを反省してほしいかもしれない。ただ、はっしーはっぴーとチャンス大城という成人男性二人が互いに蟯虫検査をやるという非常に「良くない」映像を地上波で流したことだけはちょっと評価したい気持ちもある。
なんにせよ、こういうギリギリのラインを超えたり超えなかったりする番組は(超えてしまったときに他人がちゃんと否定してくれるので)、個人としては良かったときに良かったと書くことを基本にしていけば良いかなと思っているし、ちゃんと面白い回もあるので番組としては続いていってほしいなと願っている。ちなみに8/28の説の話ばかり書いているが、今月は終了デマ拡散王の「お見くろん芸人しんいち」のくだりが一番笑った。他にも面白い番組はあったのだが、さすがに触れておかないと気持ちの面でもスッキリしないので、最後は長々と書いてしまった。9月はあんまり深いことを考えずに楽しめると良いんだけど。