眠気はあるのに眠り方がわからなくなってしまった夜に、とりあえず選んで聴いた音楽が耳から身体の真ん中あたりに届いて、眠れたわけじゃないけどなんとか心を落ち着けてくれた。これまでの人生、運良く健康に生きてこられたけど、ここ最近小さめでもちゃんとしんどい体調の悪さに苦しむ日が増えた気がするなぁなんて不毛な回想をして、余計に眠れなくなった夜、祈るように聴いた音楽。今回は冒頭からポエティックになってしまった。
- 電球『人工島』
- 1/8計画『開発日記』
- DYGL『Cut the Collar』
- Hedigan's『2000JPY』
- 北園みなみ『promenade』(2014)
- OGRE YOU ASSHOLE『新しい人』(2019)
電球『人工島』
ノイジーなサウンドを基調としながら、鉄道のアナウンスのサンプリングがみられるなど色んな仕掛けがあり、最近ちょこちょこ聴いているシューゲイザー系の音楽の中でも稀有な個性を持っているなと感じた。考える前に身体が反応する。こういうシューゲイザー系の音楽が耳にスッと入ってくる日があって、そういう日にとりあえずファーストチョイスで選びたいなと思える。自分の理解の範疇はとうに超えているけれど、圧倒的に良い音が鳴っていて、身体の深いところが癒される感覚があった。⑨
1/8計画『開発日記』
この良さを形容するのは地味に難しい。このアルバムを聴いたことには何も後悔するところはないけれど、このアルバムについてまともに何かを書けるほどの耳も感受性もない。ただ一つだけ、この作品は良い。一聴した限りでは、二曲のInterludeとガガーリン、(untitled)、Oversleptあたりが印象に残ってるけど、EmbarrassedとAADAも好きだったし、これはアルバム丸ごと好きなパターンだ。⑧
DYGL『Cut the Collar』
日本人のインディー・ロックバンドだが、全曲英語詞。疾走感のある曲が並んでいて、強く惹かれる感じでもなかったけど悪くもない。「Crawl」が良い感じだった。もちろん個人の好みです。⑤
Hedigan's『2000JPY』
Hedigan'sの1st EP。どの曲が好きかというのは人によって分かれそうだけど、どれかしらの曲かは誰にでも刺さるんじゃないかというポピュラリティと、その一方である角度においてはしっかり尖ったことをやっている感じもある。個人的には「論理はロンリー」にいきなり痺れた。家主の「ひとりとひとり」とかもそうだけど、最近は孤独を雄弁に語る歌が刺さってしまってツラい。「サルスベリ」「敗北の作法」あたりも好みだった。⑧
北園みなみ『promenade』(2014)
ジャズをバックグラウンドにしたポップス作品だけど、音の重ね方の巧みさ、旋律のキャッチーさ、楽曲的な構成の良さなど、職人技とでも言うべき曲が並ぶ。一曲目の「ソフトポップ」から一気に作品世界に引き込まれた。遊び心もありながら技巧的で、ルーツの多様さも感じられるし、非常に面白い。少し調べてみると、Orangeadeというバンドを組んで大沢建太郎と名前を変えたが、遅刻、ライブ出演の拒否などといった素行不良で解雇された(バンドはその後、シンリズムを迎えてconteと名前を変えた)とか、出てくる情報がいちいち尖っていて面白い(とか言っては良くないか)。この周辺、もうちょっと探ってみたいな。⑨
OGRE YOU ASSHOLE『新しい人』(2019)
音も歌詞もすべてがミニマルなのが印象的。人をテーマにしているらしい本アルバム、ミニマルなモチーフの多用によって人というものが分割不可能=Individualな「個人」として存在することを示しているのかなとか、でも聴いていると境界線の不透明さというか、個人というものの確立しなさ(曖昧さ)を感じるところもあったなとか、まぁ色んなことを考えてしまった。オウガの作品世界の面白さを感じられて良かったが、この作品の良さをちゃんと分かることができた感じもしない。好きなんだけど意外と掴みどころがないというか。何度も聴いたらもう少し何か分かるだろうか。とりあえず「ありがとう」「自分ですか?」「本当みたい」は割と好み。ラストの「動物的/人間的」はシングルバージョン推し。⑧