What Didn't Kill Us

生存記録。レビューではなく日記。

最近聴いた邦楽 / 24-10-15

今回分は新譜どころかはじめて聴くミュージシャンが多め。とりわけ良い出会いだなと思ったのは、喃語、The fin.、betcover!! あたり。感想もできるだけ手短に書きつつ、継続を大切に。

棕櫚『Town Pages』

黒澤よう、佐藤望によるユニット棕櫚(シュロ)の1stフルアルバム。前身はシンリズムも所属したconte。さらに前身を辿ると、北園みなみも所属したOrangeade。ちょっと前に北園みなみを調べたときにconteの情報までは掴んでいたのだが、棕櫚になったという話は知らなかったので、調べてみて驚いた。まさに点と点がつながったような。

聴いた印象としてはトラックメイクが巧みでとても心地よく、優しいヴォーカルも好み。特に2, 4, 6, 8, 10とたまたま偶数番目に好きな曲が多かった。ラストの曲(雨に消える)も好きかなという感じ。サックスとかフルートが鳴ってくる曲がジャジーな味わいで好きだったし、チルとかヒーリング系のような感じで楽しんだ。⑧

Town Pages

Town Pages

  • 棕櫚
  • J-Pop
  • ¥2037

喃語『すけしふしぐ』

ポエトリーリーディングとオルタナティブロックを掛け合わせた「ポエタナティブロック」を自称する喃語。ちょっととんでもなくて、なんと言ったら良いのか分からない興奮がある。聴いたことのない音楽で、トリプルファイヤーとかとも違うんだよな。「穴」がまず素晴らしかったし、個人的には「赤い電車」も最強。夜には「パレード」を聴きたいし、「犬」を聴いて夢とうつつの境目に堕ちてしまいたい日もあるかもしれない。ちょっとここ最近聴いた中でも衝撃的だった。⑨

すけしふしぐ

すけしふしぐ

  • 喃語
  • オルタナティブ
  • ¥1224

毛布にくるまって『浮力』

そこはかとなく漂う「インディーズ臭」がポジティブに作用していると思う。一曲目の「よだか」から唸らされる仕上がり。歌詞の描写がやけに生々しい曲も多く、そういう歌詞が好きな人もいるだろうと思うものの、個人的には抽象度が高めの方が、あるいは遠回しな表現の方が、好きかなぁというのはあった。直接的なのもそれはそれで良いんだけど。表題曲の「浮力」は歌詞も含めて一番好み。次いでよだか、ブルービーム計画、なにもできない、タクシーは南へ行くあたりも好み。歌詞に割と注目してしまったけど、ギターやベースがいい仕事をしていたり、トラック的にもかなり聞き応えがある。いいバンドだ。⑧

浮力

浮力

  • 毛布にくるまって
  • J-Pop
  • ¥2037

Xamd『17℃』

先鋭的なエレクトロニックがキメッキメで、サンプリングなども上手くハマっていてめちゃくちゃいい音楽だと思う。明らかに尖っているんだけど、その尖りは耳をつんざくのではなく、むしろ耳にも身体にもきわめて心地良い。⑦

17℃ - EP

17℃ - EP

  • Xamd
  • エレクトロニック
  • ¥611

B'z「イルミネーション」

久しぶりに朝ドラを見始めたのだが、主題歌にちょっと驚かされた。B'zが朝ドラを手がけるのかぁという。勝手にミスマッチだなと思っていたけれど、かなり良い主題歌である。ちなみに前作「虎に翼」は精神的な余裕がなくて見られなかったのだが、「おむすび」はとにかくゆったりと進んでくれるし、モラトリアムを丁寧に描写していくのが面白くて楽しんでいる。ネットでは不評らしいが、気づきにくいだけでかなり秀逸なつくりになっているし、描かれていない行間を知識や経験で補っていくことで立体的になっていくドラマであることには驚かされた。

いつだって「大衆」の反応というのはまぁ軽薄なものなので(なんならまともに見てない人の方が軽口を叩きがち)、自分が楽しめるかというのは見てみないことにはわからないなと思う。

主題歌もポップミュージックってこうじゃないとという仕上がり。通しで聴いてみると二番の歌詞がなかなか良くて、ほろっとさせられる。このまま朝ドラの展開と共に楽しみ続けられると良いなと。⑧

イルミネーション

イルミネーション

  • B'z
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

The fin.「Alone in the Sky」

洋楽は基本的に聴かないし、この雑記でも取り上げてこなかったけれど、イギリスが本拠地で英語で歌い上げるオルタナロックと言われてしまうと邦楽か洋楽かという境界線はだいぶ曖昧になってくる気もする。今回初めて聴いたけれど、ジャズっぽさもある良質なオルタナロックは驚くほど心地よい。ヴォーカルも良いけれどトラックが良い。カップリングの二曲(Towards the Sun, Swans)は既発曲らしいが、こちらも素晴らしい良曲だった。⑧

Alone in the Sky - Single

Alone in the Sky - Single

  • The fin.
  • オルタナティブ
  • ¥611

betcover!!『馬』(2023)

妖艶な昭和歌謡のような味を出しながらも、いわゆる大衆音楽からは逸脱していったところに軸を置いたロック音楽という感じで、退廃的な美しさを感じた。まぁ「バーチャルセックス」なんてタイトルの曲から始まるわけだから、ただものではないんだろうとは思っていたけど、本当に只者ではない一枚だった。なんかまだよく分かってない部分も大いにあるんだけど、こういう出会いを待っていた。⑨

馬

  • betcover!!
  • オルタナティブ
  • ¥1375