What Didn't Kill Us

生存記録。レビューではなく日記。

最近聴いた邦楽 / 24-10-22

いよいよ肌寒くなってきた。最近は新しい音楽を聴いてもいいなとしか思わなくなってきているような気がしないでもないものの、downt、冬にわかれて、Beachside talksと新しく聴いたミュージシャンは間違いなく良かった。

downt『Underlight & Aftertime』

強く立っているように見える人間の脆さを見たような、大きいと思っていた親の背中がふと小さく見えたような、スーパーヒーローの俯く顔を見てしまったような、裏返せばそのような今にも崩れ落ちて倒れ込んでもおかしくない脆さを抱えながらも強く立って生きているような、そんなアンビバレントさを感じた。どこからともなく香ってくる死を希求するにおいに引き寄せられて来たら、生をさらりと肯定されてしまったような、そんな感動を前に、何か具体的にこの心の蠢きを書き残す必要などないなと思っている。これからもしばらくは「13月」を生きるしかない私は、このアルバムを支えにするのだろうな、そんな確信だけ書いておけば充分。⑩

Underlight & Aftertime

Underlight & Aftertime

  • downt
  • オルタナティブ
  • ¥1833

HOME『HOME EP2』

いい音楽だ。既発曲も改めて聴いて良いなと思ったし、新しく出た曲も良い。Thank you for my fuckin' memories!(Memories)というリリックだけでもうお腹いっぱいかもしれない。⑥

HOME EP2 - EP

HOME EP2 - EP

  • HOME
  • オルタナティブ
  • ¥1275

Beachside talks「Big Sky」

これは夏前に出会っておきたかったなというわずかな後悔と、それでも来年の夏にこの曲を聴けたら良いなという希望と、いまこの音楽に出会えて良かったなという喜びと、まぁ色んな気持ちが湧き上がってくる。結局「生き急ぐにはまだ早い」し、ゆっくりこの曲をこれから噛み締めていけばいいかな。そういう破茶滅茶に良いシューゲイズだった。⑨

Big Sky

Big Sky

  • Beachside talks
  • オルタナティブ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

Hedigan's「グレー」

「カーテンコール」とか「論理はロンリー」とかも結構好きだなと思ったけど、そういう方向性とはまた違って、サチモスらしさがあるというかもっとちゃんと言えば「かっこいい尖り方」をしていて、妙にクセになる音楽。トラックメイクが素晴らしい。シニカルというかアイロニカルな響きの言葉も音楽にポジティブに作用しているし、なんかもうすごく良いなこれ。⑨

グレー

グレー

  • Hedigan’s
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

田中ヤコブ『おさきにどうぞ』(2020)

味になる なんだっていつかは
刻み込まれた傷跡さえ生きた証になるぜ
大丈夫さ

田中ヤコブ「ミミコ、味になる」

前向きな歌詞というのは少し苦手なんだけど田中ヤコブの言葉は後ろ向きに前向きだから、前向きなのにスッと入ってくる不思議さがある。無力感も虚無感も否定することなく、そういう感情に覆われて奥底に眠っている小さな前向きさの欠片のようなものを刺激してくるような。個人的には家主の方が音楽的にも全体的に好きだけど、ソロも良いな。⑨

おさきにどうぞ

おさきにどうぞ

  • 田中ヤコブ
  • J-Pop
  • ¥1833

冬にわかれて『flow』(2023)

『しゅー・しゃいん』を聴いた時点で、寺尾紗穂が素晴らしいミュージシャンなのは頭でも体感でも分かったんだけど、意外とそれ以降日常的には聴いてなかったり、まだあまり過去作を掘り下げてない。今回これを聴いて、もしかすると冬にわかれての方が肌に合うかもしれないなぁみたいなことをぼんやり思った。ジャズテイストだったり、民謡ベースのエスニックなテイストだったり、その音楽的なバックグラウンドの幅広さも良かったし、どのようなタイプの曲でもメロの良さとバンドの良さが圧巻。これからの季節には寺尾紗穂と冬にわかれてがよく合いそうな気がするな。「Girolamo」が好き。⑧

Flow

Flow

  • 冬にわかれて
  • J-Pop
  • ¥2444

TOMOO『Wanna V』(2016)

新譜が出たタイミングでTOMOOさんの過去作をチェック。最初期のミニアルバムから順に。サウンドメイクの面ではそんなに凝った作りにはなっていないのだが、メロディーや歌詞の作り方はこの頃から圧倒的に上手い。バラードからダンサブルなポップチューンまで、5曲入って5曲とも良い。バラード主体のアルバムなところにインディーズみを感じる。「泳げない」がこってりめのバラードだったが、個人的には「shiosai」とか「I hope,」の方が好みのトーンだったかな。TOMOOがJ-POPの中心に駆け上がっていくような予感はこのミニアルバムからですら感じられる。⑧

Wanna V - EP

Wanna V - EP

  • TOMOO
  • J-Pop
  • ¥1222

その他

君島大空『午後の反射光』『縫層』『袖の汀』
なんだかんだ、2023リリースのアルバムよりもEP三作の方が聴いている気がする。聴くたびに毎度違う曲のことが気になるのだが、最近だと、午後の反射光、夜を抜けて(午後の反射光)、傘の中の手、縫層(縫層)、きさらぎ、銃口(袖の汀)あたりが気になっている。きさらぎ駅への憧れが滲む「きさらぎ」の歌詞がなんか思ったより響いたな。

午後の反射光 - EP

午後の反射光 - EP

  • 君島大空
  • オルタナティブ
  • ¥1222
縫層

縫層

  • 君島大空
  • オルタナティブ
  • ¥1528
袖の汀 - EP

袖の汀 - EP

  • 君島大空
  • オルタナティブ
  • ¥1528