新譜を聴くつもりだったのだが、なんとなく少し前の作品を色々と聴いた。Mei Semones良かった。
- Glans『slow tree』
- Highvvater『my band』
- Mei Semones『Kabutomushi』
- Mei Semones「Dangomushi」
- 奇妙礼太郎「朝までのブルース」
- ひとひら『Seasons of Someday』(2022)
- downt『downt』(2021)
Glans『slow tree』
トラックの切れ目は交響曲の楽章のようなものであってGlansが織りなす約40分にも渡る唯一無二のサウンドスケープを楽しむ一枚。これに圧倒されない方が難しいのではというくらいに圧倒的な音楽。ここまで来ると私なんかが何かを分析的に述べるなんて烏滸がましいどころかシンプルに不可能。それでもボキャブラリーのない自分なりに頑張って形容するならば、こんな感じだろうか。。。傍に何もない、宇宙の始まりのような無重力の空間に放り出され、目的地も見えないままにただ漫然と流れに身を任せるしかないものが、律動(リズム)を手に入れ、声を手に入れ、意志を手に入れ、そして叫ぶ。ここにあるのは、音が音楽になってゆく過程そのものではなかろうか。。。このひどい言葉をいずれ塗り替えられるリスナーになれるだろうか。⑧
Highvvater『my band』
淡々と、だがヒリヒリとするような、青さもありながら社会の理不尽によって灰色に染められたようなオルタナロックチューンが並ぶ。「メイビー君がメディシン 逃避してないと死にたくなる」(シニシスト)、「生きているのに 死んでいるような顔が いつからか固まって」(afterdark)、「死んでもゴールはない」(my band)。そんなに死のことばっか歌わなくたっていいのにと思いつつ、そのような鬱屈こそロックのいいスパイスだなとも思うわけで。⑦
Mei Semones『Kabutomushi』
邦楽と洋楽、あるいは日本語と英語のあわいにあるような唯一無二のアコースティックなポップス。日本語は英語のようで、英語は日本語のようで。変拍子を軽やかにステップしてゆくような自由自在な音楽はチルでもあり高揚的でもある。ジャンルから何から分類して説明するのが難しいが、ただ一つだけこの音楽がカッコ良いということだけは確か。⑨
Mei Semones「Dangomushi」
最新曲。こうして聴いてみるとやはり天才的なポップセンスだなと思う。ジャズテイストの曲が好きなので、ボッサ調の曲はシンプルに好きというのもあるし、この自在さにものすごく惹かれる。凄い。⑨
奇妙礼太郎「朝までのブルース」
まにまにっていい響きだなぁと思う。そんなこたぁどうだっていいと言われそうだけど、この曲を聴きながら一番気になったポイントは、夢のまにまに落ちてゆけ、夜のまにまに落ちてゆけだった。眠れない夜の音楽になってくれそうだな。⑥
ひとひら『Seasons of Someday』(2022)
誰も知らない街まで泳ぐ魚は
影もいらない孤独で踊りをしてる
ひとひら「観賞魚の行方」
ひとひらの音楽が最近は肌に合う感じがある。シューゲイズ系の轟音ロックを少しイヤホンの音量を大きめにして聴く。分かりやすいわけでもなく、かと言って意味が分からないということもない、バランスの良いリリックに少し救済されるような感覚があったり。ひとひらもまた孤独を豊かに歌いあげることのできるバンドだ。⑨
downt『downt』(2021)
最新アルバムの『Underlight & Aftertime』と楽曲の重複があるのだが、downt初心者でも分かる明らかなテイクの違いで、再録したんだろうということが分かる。本当はこっちを先に聴くべきだったんだろうな。基本的に最新版の方が良いテイクだと思ったが、こちらはこちらで悪くなかった。「Channel 2」や「地獄で夢を見る」など再録されていない作品も名曲なので、なんかこの再録も聞きたいなというのが強い。ただこれはこれで絶妙なバランスで立っている。⑨