カリタス室内合唱団の2024年リリースの新譜は、ジェイムズ・マクミラン(スコットランド)、ヘンリク・ダールグレン(スウェーデン)、フィリップ・クック(イギリス)、アンドリュー・スミス(イギリス、ノルウェー)という四人の現代作曲家の作品集。マクミランはさすがに知っていたが、他の三人は(何かしら聴いたことはあるかもしれないが)ほとんど知らない。
アルバムの中心を占めているマクミランの作品は比較的静穏な曲でも音のぶつかりを厭わない複雑な和声で緊張感を伴うことが多いのが印象的で、本作にもそうした作品が多かった。
同じく緊張感のある作品が多いと感じられたのがクックで、調べてみると音楽学者としてマクミランを研究し、書籍(The Music of James MacMillan)も刊行するなどマクミランに造詣が深い作曲家らしい。もちろんマクミランとは異なる個性を持った作品だが、マクミランの系譜と言われると納得する部分もあった。
ダールグレンによる宗教曲(讃歌)も、それぞれかなり短いながらも宗教曲らしい静謐な美しさがあり、アルペジオのように和声的に広がっていくような1曲目の響きが印象的だった。作品集のラストに並ぶアンドリュー・スミスの各曲は、ユニゾンやかなりシンプルな和声のフレーズが印象的に響く印象があった。特にラストの「An Old Irish Blessing」はそのシンプルな美しさ、ソプラノ独唱の優しさに完全にやられてしまった。
- Cooke: Christus Resurgens
- Dahlgren: Latin Hymns I: Ave Maris Stella
- Dahlgren: Latin Hymns II: Ave Regina Caelorum
- Dahlgren: Latin Hymns III: Ave Maria
- MacMillan: If Ye Love Me
- MacMillan: For A Thousand Years
- Cooke: Veni Sponsa Christi
- MacMillan: I will take you from the Nations
- Cooke: O Lord, Save Thy People
- MacMillan: Be who God meant you to be
- MacMillan: The Highgate Motet
- Smith: Rex et Martyr triumphalis
- Smith: Christi Tractus in Odore
- Smith: An Old Irish Blessing
A New Spirit: An Album of Première Recordings
Caritas Chamber Choir, Benedict Preece,
Catherine Futcher (soloist), Millie Heyward (soloist)
2024 / Ulysses Arts: UA240110
★★★☆☆(2024/10/19)
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