Le Grand Mystère / Ensemble la Sportelle

フランスの合唱団Ensemble la Sportelleが新作をリリース。タイトルの「Le Grand Mystère」はラテン語では「O Magnum Mysterium」、日本語に直せば「大いなる神秘」という意味。本作の中にも同名曲が含まれているが、キリストの降誕、聖母マリアへの畏敬を表現するクリスマスの讃歌にしばしば用いられるテクスト（ないし曲）である。前作の「Lux」と同じく四部構成のプログラムとなっており、聖歌から近現代の作曲家の作品までが四つのサブテーマに沿ってキュレートされた一枚である。

第一部（Rejoice）は二つの聖歌を経て、マクミランをはじめとする現代曲が三曲並ぶ。個人的にはスティーブン・サメッツの「Gaudate」が特に良かった。第二部（A Boy was Born）はブリテンの「A Boy was Born」から始まり、その後は聖歌とプーランクを中心とした構成。この合唱団は前作でもプーランクをやや多めに取り上げていたが本作でもプーランクの演奏は絶品。洗練されたアンサンブルがプーランクの緻密な音楽とよく合う。

後半は第三部（In a Silent Night）、第四部（Be Joyful）のいずれも20世紀以降の作曲家の作品が並ぶ。第三部は「きよしこの夜（Silent Night）」のアレンジ版と思われるシクステンの「Mary's Lullaby」をはじめ、難度の高い和声が特徴的な曲が並んでいた。この合唱団は難曲でもきわめて精巧に仕上げてくる。そして第四部は遠近感のあったブリテンに重層感のあったタヴナーの二曲。「これで終わりか」という感じは否めなかったのだが、まぁでもサラッと終わる感じが良かったとも思う。

前作「Lux」に引き続き、演奏はかなりのクオリティだったように思うし、コンセプチュアルな作品は個人的に好きなので、かなり評価は高い。