いよいよ師走。一年間のベストを決めたりする季節だが、まだ私はベスト候補になるかもしれないアルバムでも聴けていないものがたくさんある。年でくくることにどれほどの意味があるんだろうと思いつつ、それでも年末に総決算のブログを書くために今月はちゃんと準備したい。
- せだい『Underground』
- ゆず「Chururi (feat. 松たか子)」
- 揺らぎ「Oppressed」
- Beachside talks「Dream Up!」
- Moon in June「色彩を持たないで」
- 折坂悠太「呪文ツアー」(U-NEXT)
- その他
せだい『Underground』
東京・大井町で2018年に結成されたバンド。経歴的にはkurayamisakaとの共通性をあれこれと感じるが(Gt.清水は両方のメンバーだし、レコード会社も同じだし、seasonsのカバーも収録されている)、音楽性はだいぶ異なる。荒々しさのある音像は少し懐かしい邦ロックという感じもある。ヴォーカルの佐久間ゲンゾウが作っている作品が多いようだが、彼が描く心象描写にはグッとくる。前半の締めとして歌われるバラードの「ひととせ」が素晴らしかった。愛に心を閉じ込めるっていいな。⑦
出来ればどうか、身軽な姿で
誰かの夢を乗せないで欲しいよ
胸いっぱいの愛に心を閉じ込めては
傷付いていくの? 嫌われないように
せだい「ひととせ」
ゆず「Chururi (feat. 松たか子)」
ゆずはもう大御所なんだなぁということを思わされる。私の認識はいまだにゆずグレンとかで止まってるもので。どういう経緯で松たか子とのコラボなのかは分からないが、このコラボ結構いい感じ。⑥
揺らぎ「Oppressed」
渋いカッコよさ。これを出せるミュージシャンというのは決して多くないんじゃないか。これにはさすがに唸ってしまった。⑨
Beachside talks「Dream Up!」
疾走感のあるシューゲイズ系のポップをやらせたときにこのバンドは強い。今年のリリース作でBig Skyはなかなかの名作だったように思うが、本曲も(若干どこかで聴いたことがありそうな感じはするが)かなりの良作。好き。⑦
Moon in June「色彩を持たないで」
こちらもキャッチーなシューゲイズ・ポップ。王道のコード進行に自然な展開のメロディーなので、なんとなく既視感があるのだが、それでもなんだかんだ良いことには違いない。⑥
折坂悠太「呪文ツアー」(U-NEXT)
U-NEXTのライブ配信で折坂悠太の「呪文ツアー」最終日公演を視聴した。最新アルバム『呪文』からの選曲を中心にしたプログラムは、全体を通してサクソフォーンやエレキギターなどによる妖艶で魔術的・呪術的な響きに包まれていた。光による演出もかなり多い。特に印象的だったのは中盤以降。アルバム以上にたっぷりと演奏されたインストゥルメンタルの「信濃路」は、空気をそのままに「正気」へと連なり、そこからさらにシームレスにつながっての演奏となった「朝顔」は、呪術的でダークな響きと、曲そのもののポップ性が持っている光が混じり合ったような独特の味があった。さらにそこからの「夜学」「努努」「さびしさ」といった熱情的な作品をフルスロットルで駆け抜け、MC、メンバー紹介、そして「心」を挟み、最後には「無言」「ハチス」というメッセージの強い「うた」へ。折坂悠太のすごみが詰まっている演奏だった。
その他
北村蕗『500mm』(2024)