イギリスの女性作曲家レベッカ・デールの作品集。管弦楽曲(1)、合唱曲(2, 4-8)、管弦楽・合唱曲(3, 9-11)という構成であり、いくつかの曲にはチェロやソプラノのソリストが入る。演奏はいずれも実力派のフィルハーモニア管弦楽団(マイケル・コリンズ指揮)とテネブレ(ナイジェル・ショート指揮)。
どの曲も初めて聴いたが「Salve Regina」や「I Wandered Lonely As A Cloud」、「There Will Come Soft Rains」など、合唱曲はどの曲も全体的に、ローリゼンやエセンヴァルズなどのような甘美さが感じられる。テネブレのサウンドとはよく合っている。口あたりが良い曲が多いので、日本でもすぐにでも流行りそう。
表題の「Night Seasons」は3曲から構成。第1曲「Nox Perpetua(永遠の夜)」、第2曲「When It's Darkest, A Prayer For The Dawn(最も暗いときの夜明けへの祈り)」、第3曲「Sanctus(サンクトゥス)」はどれも激しさを伴うような動的な部分はほとんどなく、静的な音楽が大半を占め、どの曲も同じように最後にGrandioso(壮大)な音楽に到達する。ソロのチェロが奏でる旋律の美しさは印象的だったが、やや一辺倒な音楽に聴こえてしまうのは演奏よりも曲のせいではないか。
アルバムとしては似たような曲調の作品しかないので、管弦楽団や合唱団などが見せる表情もほぼワンパターンとなっており、正直なところ物足りない。同じ作曲家の作品を集めている以上、似たような曲だらけになることは仕方のない部分があると思うが。甘美な音楽を聴きたいときには良い一枚だと思う。(2024/5/22)
Rebecca Dale: Night Seasons
Philharmonia Orchestra, Tenebrae, Michael Collins, Nigel Short
2024 Signum (SIGCD866)
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