指揮者アドリアン・エマンス(Adrian Emans)によって2016年に創設されたベルリン新室内合唱団(Neuer Kammerchor Berlin)のデビューアルバム「巨人の肩に乗って」。Grahamの同名の吹奏楽曲をすぐに浮かべてしまうのは吹奏楽部出身の悪いクセ。Google Scholar のトップページに書いてあるよねと言っちゃうのは研究者くらいか(完全に余談)。ベルリンを拠点とする室内合唱団といえばRIAS室内合唱団だったが、そこに新星が現れた。
タリスの古典「Nunc dimittis」から、ラインベルガーのミサ、ブルッフの合唱曲といったロマン派の作品、ラター「Five Traditional Songs」、さらには、ポール・スタンホープ(オーストラリア)、ケン・スティーブン(インドネシア)、ダニエル・エルダー(アメリカ)といった世界各地の現代作曲家の作品を織り交ぜたアルバムで、総じてどの曲もかなりのクオリティで仕上がっている。
エルダー「The Yellow Wood」がとりわけ甘美な曲で印象に残った。柔和でよく溶け合ったハーモニーが曲の魅力をよく引き出しており、個人的にはこのアルバムのベスト演奏。ラターのポップステイストの5曲も良い味を出していた。タリスも安定感がある演奏が良かった。最終曲のスティーブン「Hentakan Jiwa (The Beat of the Soul)」はパワフルで迫力のある一曲。バラエティ豊かな良い一枚だった。
Standing On the Shoulders of Giants
Neuer Kammerchor Berlin, Adrian Emans
2024 Rondeau (ROP6249)
Links: Presto, musicweb.itn., Naxos
★★★☆☆(2024/5/25)
2024/8/6 一部修正