2023
ブルックナーの合唱用のモテットをオーストリアの作曲家トーマス・ドスが吹奏楽編曲したものがあるらしい。トーマス・ドスといえば『シダス』くらいは知ってるなぁと思って調べてみると、ブレーンから輸入譜が販売されていた。 今回聴いたオーストリアの軍隊…
今回もGramophone Awards 2024 古楽部門の候補リストに選出されたアルバム(ファイナリストには選出されず)。リサーガム(声楽アンサンブル)とイングリッシュ・コルネット&サックバット・アンサンブル(古楽アンサンブル)が今回手がけたのは、ルネサンス…
『エロスと暴力』と題された本アルバムは、ヴァルター・ナスバウム指揮のスコラ・ハイデルベルクによる演奏とミヒャエル・ロートショプフの朗読によって、前半はカルロ・ジェズアルド、後半はミケランジェロ・ロッシという2人の作曲家によるマドリガーレを、…
モーリス・ラヴェルの曲といえば、一般に最も有名なのは『ボレロ』だろう。ところが、私のような吹奏楽民からすると、ボレロは吹奏楽(特に吹奏楽コンクール)ではなかなか演奏されるものではなく、むしろ『ダフニスとクロエ 第二組曲』の方が圧倒的に人気な…
Gramophone Awards 2024 古楽部門のノミネート作品。古楽ア・カペラ作品を数多く取り上げてきたカペラ・プラテンシスが今回取り組んだのは、ルネサンス期のポリフォニーミサの中でも最高峰とされている長大さと複雑さを誇る、ヤーコプ・オブレヒトのミサ『優…
ルネサンス後期から初期バロックにかけてイタリアでは世俗歌曲である「マドリガーレ」が流行した。フランスで言うところの「シャンソン」、イギリスで言うところの「マドリガル」と近い位置付けのジャンルだろう(多分)。マドリガーレについて「主題は恋愛…
ジェズアルドのテネブレ・レスポンソリウムが無性に聴きたくなる夜がある。特に聖木曜日の激情的な音楽に触れたくなる夜がある。今回は思い立ったように、レザール・フロリサン(ポール・アグニュー指揮)によるジェズアルドのテネブレ・レスポンソリウムを…
少し前にGramophone Awards 2024 の部門ごとの候補が発表された。聴いていないアルバムが色々と選出されていたので、とりあえず一つでも多く聴いてみようと思っている。余談ながら、個人的にはそこまで重要ではないものの、最近 Presto Music のサイトでEdit…
最近は妙にシックスティーンが耳に馴染む感じがあって、パレストリーナを順に聴いていくだけでなく新しい作品から遡るような聴き方もしている。今回聴いたのはバード没後400年(2023年)を記念したアルバム。バードを中心に、クレメンス・ノン・パパ、フィリ…
ロンドン・キングズ・カレッジ合唱団のラフマニノフ『徹夜祷』。ジョゼフ・フォート指揮。私個人としてこの曲をかなり好きな割には、意外にもこのブログでは『徹夜祷』をそこまで取り上げていなかった。Apple Music Classical の検索では、2023年のリリース…
個人的な話を少々。少し前に色々な(とりわけ精神的な)事情によってこれまで聴いてきたポップス曲がほとんど聴けなくなった。その頃、たまたま手を伸ばした合唱音楽に心を動かされて、それから合唱アルバムの鑑賞記録としてこのブログを書くようになった。…
ハンス・プリチェット指揮の男声合唱団レンナー・アンサンブル・レーゲンスブルクの演奏による本アルバムは、ルネサンスから現代音楽まで、バイエルン地方の男声合唱作品を集めた一枚。アルバムタイトルの「白と青」はバイエルン州の色らしい。合唱団名の由…
2023年のウィーン・フィル「シェーンブルン夏の夜のコンサート」のライブ録音。指揮はヤニック・ネゼ=セガン。メゾ・ソプラノの独唱にラトビア出身のエリーナ・ガランチャが参加。 この年のテーマは「フランス音楽の粋」。色々と物議を醸した今年のパリ五輪…
今回はロシアのエカテリンブルク・フィルハーモニー合唱団の演奏による一枚。アンドレイ・ペトレンコ指揮。19世紀から20世紀にかけてのロシアの合唱作品ないし、今回のために合唱編曲された作品のオムニバスアルバム。 以前、エカテリンブルク・フィルハーモ…
今回はルネサンス系の男声合唱グループであるジェズアルド・シックスのアルバム。『明けの明星』というタイトルだけだと、何のコンセプトのオムニバス・アルバムなのかが分からなかったのだが、どうやら「公現祭 epiphany」というクリスマスから12日後の祭日…
今回はジョルジュ・リゲティの無伴奏合唱作品集。SWR ヴォーカルアンサンブルの演奏で、「無伴奏合唱曲全集」と銘打たれている。指揮は若手の気鋭ユヴァル・ワインバーグ。熱量のあるリゲティを楽しめるなかなかの一枚。過去にリゲティは数回聴いているが、…
今回はルートヴィヒ・ダーザーの二作のミサを収録したウエルガス・アンサンブル(パウル・ヴァン・ネーヴェル指揮)の一枚。昨日のチンクエチェントと連続でのダーザーである。 前半の6声ミサ『万物の連なりを越えて Missa Preter rerum seriem』は、ジョス…
今回はドイツのルネサンス作曲家ルートヴィヒ・ダーザーの合唱作品集。オルランド・ディ・ラッソ(ラッスス)の影に隠れてこれまであまり注目されてこなかったダーザーだが、そんなダーザーに光を当てた作品集が2023年には2枚リリースされている。今回はチン…
今回はアラミレのバード。デイヴィッド・スキナーが率いる合唱団アラミレと古楽アンサンブル・フレットワークの演奏で、作曲家ウィリアム・バードの1589年に出版した作品集の3声から6声の作品(一部は独唱に変更されているが)を全曲録音。 3声作品は無伴奏…
今回はラトビア放送合唱団の演奏によるラトビアの女性作曲家ルーツィア・ガルータの合唱作品集。ほとんどが4分未満の小品。ブログを書きながら気づいたが、サブスク(Apple Music)上では 2024/7/12 時点で楽曲情報が大きく間違っている模様。具体的には、曲…
1930年代のドイツにおいて、ジャズ、黒人音楽、新ウィーン楽派の無調音楽、そしてユダヤ人作曲家の音楽は、ナチによって「退廃音楽」として排斥された。本アルバムはそのような退廃音楽を集めた一枚となっている。 Entartete MusikVlaams Radiokoor, Bart va…
シューマンは名前を知っているもののほとんど聴かない作曲家だったが、スウェーデン放送合唱団なら聴いてみるかということで手にとった一枚。オルガン伴奏の『ミサ・サクラ』と無伴奏の『4つの二重合唱曲』が収録されている。カスパルス・プトニンシュ指揮。…
アメリカの作曲家エリック・ウィテカーの作曲活動30周年を記念した一枚。ヴォーチェス8の演奏で、ウィテカーが指揮。同じくウィテカー指揮の著名な合唱作品集である2010年リリースの「Light & Gold」と見比べると、M2. The Seal Lullaby のみ重複している。 …
メンデルスゾーンの男声合唱作品を集めた SWR ヴォーカル・アンサンブル(フリーダー・ベルニウス指揮)の男声メンバーによる一枚。2枚組33曲とかなりのボリュームで、演奏は言わずもがなのクオリティだし、録音があまりなされていない作品も多く、資料価値…
スイス出身の作曲家イーヴォ・アントニーニの合唱作品集(2023)。演奏はスティーヴン・レイトン × トリニティ・カレッジ・ケンブリッジ混声合唱団。アントニーニという作曲家は名前こそ知ってるが、そこまで聴いてこなかったのでどんな感じだろうと思って選…
ルネサンス・ポリフォニーを専門とする男声アンサンブルグループであるジェズアルド・シックスがウィリアム・バードを取り上げた一枚。ルネサンス縛りで聴く「ルネサンスシリーズ」の第5回目。ちょっとバードに偏り気味かも。 Byrd: Mass for Five Voices, A…
コールヴェルク・ルール(フローリアン・ヘルガート指揮)によるブラームスの合唱作品集。 Als ob mich Engel riefen. Choral Music by Johannes BrahmsPeter Kofler, フローリアン・ヘルガート & Chorwerk Ruhrクラシック¥1833 全体を通してクセの少ないさ…
ライプツィヒ MDR 放送合唱団によるメンデルスゾーンの合唱作品集。 Mendelssohn: Choral WorksMDR Leipzig Radio Choir & Philipp Ahmannクラシック¥1528 この合唱団は少し前にブルックナーなどを聴いたときにも思ったが、(良くも悪くも)クセの少ないナチ…
ラインベルガーとメンデルスゾーンによる無伴奏合唱作品を収めたオランダ放送合唱団による一枚。ラインベルガーが好きなのでそれをお目当てに。パートごとの人数はソプラノ22、アルト17、テノール17、バス17(計73名)であり、かなり大規模な演奏だが、気鋭…
ブラームスの「愛の歌(ワルツ)」はブラームスの中でも一番好きな作品。この曲ほど「心が躍る」という言葉が合う音楽はないんじゃないかとずっと思っている。それは「楽しさ」だけでなく、様々な形の愛が乗っかって「躍る」ような感覚とでも言えよう1。 Bra…