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When You Wish Upon a Star: 100 Years of Disney Songs / The King’s Singers

キングズ・シンガーズが2023年にリリースしたこのアルバムは、ディズニー100周年記念として制作され、ディズニーの稀代の名曲25曲をオシャレなアレンジで送る一作。配信限定で3曲の「エピローグ」が追加リリースされている。

多くの曲にゲスト演奏家が入っているため、純粋なキングズ・シンガーズのアルバムという印象はあまりしないが、キングズ・シンガーズの高い実力は遺憾なく発揮されている。ディズニーソングをよく知っている人にとってはアレンジの新しさを、知らない人はディズニーソングの入門としても楽しめる一枚だろう(とか、推薦っぽいことを書いてみる)。

以下、私のお気に入りを5曲(+ 1曲)挙げたい。

キングズ・シンガーズのみで演奏される曲の中からは、テンポが速い中で一糸乱れぬアンサンブルが楽しめる「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」(メリー・ポピンズ)と、これぞ「アカペラ」という仕上がりで気分が盛り上がる楽しいアレンジの「ぼくの旅」(ブラザー・ベア)、そして最終曲に置かれた甘美さがピカイチの「愛を感じて」(ライオン・キング)の3曲を挙げたい。あらゆるタイプの曲が上手いんだよなぁと、しみじみ思う。

4曲目にはゲストプレイヤーのピアノ、ギター、トランペットが入ることで、他のアカペラ曲とは一線を画す幻想的な世界を作り出している「いつか夢で」(眠れる森の美女)を挙げる。この曲についてはキングズ・シンガーズの仕事量がやや少ない気もするが、25曲を通してのベスト曲も個人的にはこれかな。

続いて、今回のアルバムにはソプラノやテナーのソロが加わる作品は25曲中5曲あるが、その中でもとりわけ美しいソプラノソロ、さらには感動的な曲の盛り上がりが印象に残る「パート・オブ・ユア・ワールド」(リトル・マーメイド)を5曲目に。最後に『エピローグ』からはギターとコーラスが特に美しく絡み合う「2匹のオルギータス」(ミラベルと魔法だらけの家)を挙げたい。

最後に付け加えておくと、全体としては良いアルバムだと思ったが、「ノートルダムの鐘」はRingmasters、「ゴー・ザ・ディスタンス」やアラジンはVocal Spectrum、など世界トップクラスのバーバーショップ・カルテットの演奏がどうしても頭に浮かんでしまい、それに勝るなとまでは思わなかったことも否めない。(2024/5/25)


When You Wish Upon a Star: 100 Years of Disney Songs
The King’s Singers, Joyce DiDonato (mezzo), Pene Pati (tenor), Edgar Moreau (cello), Lucienne Renaudin Vary (trumpet)
2023 / Warner Classics (5419736740)
Presto, HMV

When You Wish Upon a Star

When You Wish Upon a Star

  • ザ・キングズ・シンガーズ
  • クラシック・クロスオーバー
  • ¥1630
★★★☆☆

The Epilogue - 100 Years of Disney Songs
The King’s Singers
2024

The Epilogue - 100 Years of Disney Songs - Single

The Epilogue - 100 Years of Disney Songs - Single

  • ザ・キングズ・シンガーズ
  • クラシック・クロスオーバー
  • ¥611
★★★☆☆