メンデルスゾーンの男声合唱作品を集めた SWR ヴォーカル・アンサンブル（フリーダー・ベルニウス指揮）の男声メンバーによる一枚。2枚組33曲とかなりのボリュームで、演奏は言わずもがなのクオリティだし、録音があまりなされていない作品も多く、資料価値もある。
メンデルスゾーンの男声合唱作品で演奏機会が多い曲といえば、Beati Mortui ではないかと思うが、それは（別のアルバムでリリース済みのため）収録されていない。収録曲を見ていくと「6つの歌曲 Op. 50」や「4つの歌曲（Op. 75, 76, 120）」としてまとめられた作品が多く、いわゆる「歌曲（lieder）」が多めに並んでいることが分かる。なお、「聖なる歌」や「夜の歌」では歌という意味の単語で "gesang" という言葉が使われている。lied(er) とは何が違うのかイマイチよく分かっていないのだが、備忘録的にとりあえず書いておく。
強烈なインパクトを残すような作品があるという感じでもないが、男声の持っているパワフルさを活かした曲や、男声の軽やかさを引き出したリズミカルな曲や、同声合唱らしくよく溶け合った柔和なサウンド感を活かしたバラード的な曲など、男声合唱の多様な魅力が楽しめる一枚になっている。曲の配置もかなり工夫されている印象を受けた。
Mendelssohn: Chöre für Männerstimmen
SWR Vokalensemble, Frieder Bernius
2023 (Carus: 5093528)
Presto, タワレコ
★★★☆☆（2024/6/14）
