アイスランドの合唱団であるレイキャヴィーク・スコラ・カントルム(ホルズル・アウスケルソン指揮)による一枚。
2016年にリリースされたアルバム「瞑想Ⅰ」に続く本アルバム「瞑想Ⅱ」は、「死に対する人間の思考と感覚」をテーマに、21世紀のアメリカやヨーロッパで作曲された5分未満の合唱作品を中心に収録している。テーマが決まっているので曲は似ている部分もあるが、その中での曲ごとないし作曲家ごとの個性はちゃんと見えてくる一枚となっている。合唱団の演奏も上質。
Ave verum corpus はグヴズヨンセン(M2)とセーヴァルソン(M11)という二人の作曲家による作品が収録。グヴズヨンセンの作品は短調で悲壮感を漂わせ、中盤あたりで盛り上がっていく中でのソプラノの美しさが印象的。セーヴァルソンの作品は温和な長調の響きで透明感のある和声が印象的。
In paradisum も、グリゴリエヴァ(M3)とウースベリ(M14)という二人の作曲家による作品が収録。グリゴリエヴァの作品は和声的によく洗練されており強奏での芳醇な響きが印象的。ウースベリの作品は徹底的に弱奏の作品で循環する3音の音形の反復が特徴的。
イェイロ の Sanctus: London やウカシェフスキ Nunc dimittis、ウィテカーの Sleep あたりは改めて書くまでもない満足度の高い作品。イェイロが特に充実した一曲で良かった。
知らなかった作曲家の作品では、ミーラー作曲の Ubi caritas とソーラレンセン作曲の Agnus Dei はとりわけドルチェな作品で印象に残っている。
宗教音楽が支配的な一枚だが、そうではない作品もある。トマッソン作曲「私たちの最後の日が Vor hinsti dagur」は牧歌的な響きの一作。他の作品と比べてかなりシンプルかつ短い作品だが、絶妙なところで終わってしまう感じも含め、良い「味変」となっていた。アイスランドの伝承曲である M12.「谷は美しくとも Fagurt er i fjordum」も美しいソプラノソロが印象的だった。
Meditatio II - Music for Mixed Choir
Schola Cantorum Reykjavicensis
Hörður Áskelsson
2023 / BIS (BIS2618)
参考: Presto, HMV