What Didn't Kill Us

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Credo / ラトビア国立合唱団

マーリス・シルマイス指揮、ラトビア国立合唱団による2023年のアルバム。

リヒャルト・シュトラウス「ドイツ語のモテット Op.62」は聴いているだけでも規模感を感じられるかなりの大曲。合唱だが管弦楽器のような音使いだなぁと思うところもあり、一度管弦楽作品として聴いてみたい感じもあった。

シュトラウスから続けて聴くサンドストレムが妙に「ちょうど良い」。各曲は2分前後と短く、テンションの高い音のぶつかりこそあるけれど全体的には透明感のあるハーモニーが支配的でとても聴きやすい。4曲目 His Left Hand が好みだった。

メシアン「イエスの永遠性への賛歌」はゴットヴァルト(Clytus Gottwald)編曲による合唱版。原曲は知らないのだが、深みのあるハーモニーが印象に残る感動的な作品。ゴットヴァルトのさすがの仕事。アンブロジュ・チョピ「He wishes for the Cloths of Heaven」はこのアルバムの中でも随一のドルチェな一曲。うっとりしてしまうような演奏だった。

シュトラウス「夕べ Der Abend」はこれまたスケールの大きな難曲。冒頭から最後までしっかりと夕べの哀愁を感じられるし、バルト三国の合唱団のサウンド感とよく合った曲だなぁと思う。一曲目のときにも同じことを書いたが、これもフルオケで聴いてみたくなるような重厚感がある。少しの余裕すら感じられる安定感のある演奏だった。

最後に配置されたスロベニアの若手作曲家マテイ・カステリッチによる「Credo / I believe」は、かなり趣向の凝らされた現代合唱曲。めちゃくちゃ良かった。良さを言語化していくのが意外と難しいのだが、合唱という演奏形態の可能性に挑んだ作品とは言える。「効果音」を使う合唱曲は色々とあるが、個人的にはこれまでに聴いてきた作品の中でもトップレベルに効果的な使い方をしているなと思った。


Credo
State Choir Latvija, Maris Sirmais
2023 / Hyperion CDA68426
Links: Hyperion, Presto, HMV

Credo

Credo

  • ラトヴィア国立合唱団 & Māris Sirmais
  • クラシック
  • ¥1833
★★★★☆(2024/6/4)