What Didn't Kill Us

娯楽を借りた生存記録

Byrd: The Great Service & English Anthems / Alamire

アラミレはウィリアム・バード作品のリリースが続いている。昨年リリースの『Byrd 1589』に続いてリリースされた今回のアルバムのメインは、10声の大曲「The Great Service(大礼拝曲)」。HMVのページに記されている解説によれば、第一次世界大戦後の1924年に蘇演され、それから今年でちょうど100年とのこと。

アラミレの上手さは今さら言うまでもないが、オルガンに加えて、ヒズ・マジェスティーズ・サックバッツ・アンド・コルネッツによるサックバットとコルネットの演奏が加わり、きわめて流麗で華美な演奏となっていた。アラミレのハーモニーの溶け合い方、そしてフレージングの美しさが遺憾無く発揮されており、バードのポリフォニーは和声的な美しさが魅力の一つであることを再確認させられる。アラミレの前作までのバード作品の演奏も素晴らしかったが、個人的に今回の「大礼拝曲」は楽曲が持っている力も相まって、それらを上回る充実度だったように思う。

アルバムの後半は、スティーヴン・ファーによるオルガン曲を挟みながら7曲の英語アンセムを収録。こちらは、オルガン伴奏とアラミレの合唱のみの編成だが、「大礼拝曲」とは一味違う美しい演奏に魅了された。なお、本作は『Byrd 1588』『Byrd 1589』までに含まれていた無伴奏作品や独唱曲などがないため、少しアルバムとしてのメリハリに乏しく、また歌だけを聴くという感覚が少し弱い印象は受ける。とはいえ、やはりアラミレの歌唱が主体であることは間違いなく、全体を通してほぼ非の打ち所がない、今年リリースのアルバムの中でもトップクラスの完成度だと言える。


William Byrd: The Great Service & English Anthems
Alamire, His Majestys Sagbutts & Cornetts, Stephen Farr (organ), David Skinner
2024 / Inventa Records: INV1015
★★★★★(2024/9/22)

○Links: Presto, Resonus (booklet), HMV, early music review

Byrd: The Great Service & English Anthems

Byrd: The Great Service & English Anthems

  • アラミレ, ヒズ・マジェスティーズ・サグバッツ&コルネッツ, スティーブン・ファー & デイヴィッド・スキナー
  • クラシック
  • ¥1528