What Didn't Kill Us

娯楽を借りた生存記録

Byrd 1589: Songs of sundrie natures / Alamire


今回はアラミレのバード。デイヴィッド・スキナーが率いる合唱団アラミレと古楽アンサンブル・フレットワークの演奏で、作曲家ウィリアム・バードの1589年に出版した作品集の3声から6声の作品(一部は独唱に変更されているが)を全曲録音。

3声作品は無伴奏の「7つの回心詩篇」とリュートの伴奏がついた Susanna fair から The greedy hawk まで12曲収録。かなり素朴な響きが楽しめる。バードのポリフォニーはハーモニーを感じる作品が多いという印象を勝手に持っていたのだが、3声だとそこまでかなという感じ。声部が少ないので入り組んだポリフォニーでも複雑さは感じないし、かなり聴きやすい作品が並んでいた。

4声作品はメゾソプラノのクレア・ウィルキンソンの独唱で歌われる Is love a boy? からはじまり、柔和な趣の無伴奏作品 Wounded I Am、軽やかさのある伴奏付き作品 From Citheron the warlike boy is fled など全5曲収録。3声と比べて曲数こそ少ないが、短くすっきりとした曲から長くたっぷりとした曲まであり、伴奏もバリエーションがあり、曲調も多様で、かなり充実感があった。3声と4声では音楽の彩りもかなり異なるなと感じられる。

5声作品は全体を通して精細な対位法が楽しめる作品が多い印象を受けた。伴奏付きの独唱曲数曲を含む全10曲が収録されているが、特に無伴奏のポリフォニー作品では、パートごとの絡み合いが印象的な作品が並んでいる。アラミレの柔和なサウンドによるバードがとても聞き心地よく、5声が一番好みだったかもしれない。

6声作品は全7曲収録されている。無伴奏6声の作品では声部が増えた分、ハーモニーをしっかりと感じられる作品が多かった。こうして並べてみると3声よりは複雑に聞こえるが、それでもかなり耳にスッと入ってくるなぁと感じた。独唱(重唱含む)の割合が多いような印象はあったが、重唱と tutti を交互に配置する曲(たとえば Christ Rising Again)もあったのが良かった。6声が最も厚みを感じられた。

資料的価値も高い録音で、ウィリアム・バードの音楽を存分に楽しめた。このアルバムはシャッフル再生でも楽しめそうな印象。


Byrd 1589: Songs of sundrie natures
Alamire, Fretwork, David Skinner, Jacob Heringman (lute), Lynda Sayce, Clare Wilkinson (contralto), Fretwork (early music ensemble), Martha McLorinan
2023 (Inventa Records: INV1011)
Links: Presto, HMV, CPDL (wiki)
★★★★☆(2024/7/11)

Byrd 1589

Byrd 1589

  • フレットワーク, デイヴィッド・スキナー & アラミレ
  • クラシック
  • ¥3056