この数日は2024年上半期にリリースされた作品を中心に、聴き逃していたミュージシャンの作品を色々と聴いてきた。ハイライトとしては最近ハマっているLaura day romanceに加えて、新しく聴いた新東京、チョコパコが良かった。
- 阿部芙蓉美『Super Legend』
- maya ongaku『Electronic Phantoms』
- 新東京「New Dimension」
- 新東京『NEO TOKYO METRO』
- 中村一義「春になれば」
- Laura day romance「透明」/「リグレットベイビーズ」
- Laura day romance「Young life」/「brighter brighter」
- CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUIN『Correspondances』
阿部芙蓉美『Super Legend』
ニューリリースの音楽を聴いていると、なんとなく「複雑化」の時代だなぁみたいなことを思うことがある。複雑なトラックメイク、凝った歌詞に感動しないわけではないし、むしろ好きだと感じることも多いのだが、もう少し原初的な単純で平易な音楽に触れたくなる日もある。優劣の問題ではない。古楽も現代音楽もどちらも素晴らしいように。このアルバムは、そんな日に聴きたくなるような一枚。故郷のような、音楽の原点のような、はじまりのような、そんな感覚があった。優しく耳に入ってきて、この身体の中にじんわりと伝わって溶けていく。歌詞と阿部芙蓉美の歌唱が特に良かった。⑧
さみしい夜 見通せない明日
季節 生活 なにも持たない手のひら
凪ぐ 世界で
凪ぐ 世界で
みんなのすべてが うまくいくようにと祈る
阿部芙蓉美「凪」
maya ongaku『Electronic Phantoms』
最初はアンビエント系かなぁくらいの感じで聴いていたが、歌詞も楽曲もけっこう刺激的なところもあってグッと心を掴まれた。特に後半の「Meiso Ongaku」は3トラックまとめて15分くらいのインストゥルメンタル楽曲。凄くよかった。⑧
新東京「New Dimension」
何の気なしに再生したらめちゃくちゃ良くてびっくりした。最初は何も知らずに聴いて、ベースとキーボードがハンパなくて驚いた。ギターレスでここの2パートが大活躍するっていう編成なんだな。ジャズの香りもあるロックチューンだが、キャッチーでメロディアスなのが良いなと。ハマりそう。⑨
新東京『NEO TOKYO METRO』
これは完全に「出会ってしまった」。最強の聴き心地。今月はもうこの出会いがあっただけで充分かもしれないというくらい。ポエトリーリーディング曲の「7275」をはじめ、リリックも割と刺激的でそれを読みながら聴いていくのも良さそうだけど、何よりもトラックが素晴らしい。⑩
中村一義「春になれば」
めちゃくちゃメロディアスで耳に残るポップミュージック。随所で技巧的なのがまた良いし、さてと思って歌詞を見ると戦慄する。Twitterで有識者がオススメしている音楽ってやっぱり聴いてみるもんだなぁと。その一方で、この曲にちゃんと感動するには自分の人生経験がまったく足りてないなってそんなことも思った。⑦
Laura day romance「透明」/「リグレットベイビーズ」
ここ最近、井上花月のヴォーカルが妙に刺さる。さっぱりとしていて、力の抜けた優しさがあるのに、じんわりと耳に伝わってきてしっかりと色を残す感じ。言語化はしてみたけどあまり上手く言えた気がしない。2024年春リリースの本シングル。どちらの曲も良かったけど「透明」がどストライク。歌詞を読みながら聴きたいと思わせる言葉の魅力とベーシックな味わいながら飽きさせない楽曲の魅力が溢れている。⑦
Laura day romance「Young life」/「brighter brighter」
人生哲学めいたところのあるこの手のリリックの曲は好き。特に「brighter brighter」は最後には「Young life」も含めた全ての鬱屈を包み込んで美しい光に昇華されていくような心地で、あまりに素晴らしすぎた。このラストがあるからこそこの二曲それぞれにこめられた鬱屈とした言葉もまた印象的に響く。⑨
明日死んだとしても
別に構わないけれど
死んでもいいような今夜を
探して歩くんだ今夜
Laura day romance「Young life」
CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUIN『Correspondances』
定期的に名前を見かけていたチョコパコチョコキンキン。ようやく聴いてみたのだが、あまりにも素晴らしくて絶句している。細野晴臣の孫だとか、そういう情報がなくてもこのトラックメイクは素晴らしすぎる。沖縄的な響きの強い「アダンの海辺」から、その歌詞を引き継ぎながらもトラックは自然の音とエレクトロニックなサウンドが混ざった独特の味わいの「Correspondances」へ。ラストはエレクトロニックな響きの比重が上がったメロディアスな「声を聞かせて」。このシングル一枚でどれだけの世界を見せるのか。ここまで書いてみて、やっぱり細野晴臣あたりの継承と書かずにはいられないな。凄かった。⑨