What Didn't Kill Us

娯楽を借りた生存記録

Morning Star / The Gesualdo Six

今回はルネサンス系の男声合唱グループであるジェズアルド・シックスのアルバム。『明けの明星』というタイトルだけだと、何のコンセプトのオムニバス・アルバムなのかが分からなかったのだが、どうやら「公現祭 epiphany」というクリスマスから12日後の祭日の前後に歌われる作品を集めた作品集らしい。真夏に聴くものではなかったかもしれない。

毎度のことながら、ジェズアルド・シックスのオムニバス系のアルバムはこの曲順に何らかの意味があるのかということが掴めない。アルバムの前半は、ブラームスも高く評価していた(らしい)作曲家エッカルトの「Maria wallt zum Heiligtum」やバード「Ecce Advenit」などルネサンス中心で始まるが、聖歌を経て今度は突然ひょっこりと顔を出す現代曲に翻弄される。特に、M6-8 の並び、具体的にはジョアンナ・マーシュ作曲の複雑な和声を駆使した現代曲「In Winter's House」、ルネサンス作品ながらどこか不安定な響きが魅力的なハンドル「Mirabile mysterium」、ドラマチックな力強さのある現代曲「Here Is the Little Door」はガラッと空気を変えてくる。

後半も聖歌を挟みながら、ルネサンス・ポリフォニーと現代曲がおおむね交互に演奏されていく。ルネサンス・ポリフォニーが弱いわけではないが、全体的には現代曲の方が聴き入る曲が多かった。ペルト「Morning Star」に、ピーコック「There Is No Rose」、ビンガム「In Mary's Love」など、和声的にも旋律的にもかなり複雑ながら美しい作品が印象的。その中で、ルネサンス・ポリフォニーはルネサンス・ポリフォニーらしい純潔な美しさで燦然と輝いており、特にラッソ「Tribus miraculis」が良かった。


Morning Star
The Gesualdo Six, Owain Park
2023 (Hyperion: CDA68404)
Links: Presto, hyperion, hmv
★★★☆☆(2024/7/26)

Morning Star: Music for Epiphany Down the Ages

Morning Star: Music for Epiphany Down the Ages

  • オワイン・パーク & ジェズアルド・シックス
  • クラシック
  • ¥1833