合唱大国ラトビアの名門合唱団カメールの2023年のEP。透明なサウンドで北欧の美しい響きの6作を取り上げており、各作曲家の入門的な選曲の一枚という印象もある。
丁寧で安定感のあるウィテカー「Lux nova」に続き、イヴァノフスのヴォカリーズ作品の旋律線がとても美しかった。これまであまりヴォカリーズ作品の特段の魅力を感じてこなかったのだが、これはすごいなと。
ニーステッド「Immortal Bach」はそこそこ録音されている作品だが、地味に初めて聴いた。旋律をずらすことによって不協和音程を作り、最終的に調和(解決)していくというのが面白い1。
後半はヴァスクス「Actus Caritatis」という、こちらも初めて聴く曲から。タイトルはChatGPTに入れてみるとラテン語で「慈愛の行為」を意味する言葉で、主にキリスト教の文脈で用いられると出てきた。穏やかな心で祈るような一曲だなという印象。
聴き馴染みのあるエセンヴァルズ「O salutaris hostia」、イェイロ「Northern Lights」あたりまで来て、確かに良い演奏だが、ようやくこのEPは少し響きすぎているかもという印象を抱く。残響は多めでも良い派だが、細かい動きがあるときに輪郭が少しボケた感じがしてしまう。エコーが多いという意味では「Northern Echoes」という題には合っている音響とも言えるし、好みの問題だろうか。
Northern Echoes
Youth Choir Kamer, Jurģis Cābulis
2023 Prima Classic (PRIMA039)
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