What Didn't Kill Us

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Lux / Ensemble la Sportelle

フランスの室内合唱団 Ensemble la Sportelle によるアルバムらしいが、いつも情報源としている Presto Music には情報がなく、Amazonでも情報が確認できず。本ブログは、下記のLinksにある2つのページを参考にしている。

最初はこのアルバムのコンセプトを何も知らずに聴いた。幅広い時代の名作が一枚に凝縮されたオムニバス的な一枚で、前半はプーランクやビクトリアなど素朴な響きのする合唱作品が、後半はブルックナーエルガーなど重厚な響きのする合唱作品が中心に並び、どの曲も相当完成度が高い演奏だなぁ、という印象であった。

本アルバムのコンセプトは同名の演奏会につけられた「プーランク、ビクトリア、ブルックナー、ラインベルガー、エルガーのモテットにおける影と光」という副題に表れている。

YouTubeには一部の曲の演奏の映像が上がっているのだが、曲によって照明(光)が異なっていることも重要なのだろう。

さらに、全20曲はそれぞれグレゴリオ聖歌から始まる4つのグループに分けられる模様。

第1グループ「Vidimus stellam(星を見た)」はプーランク「O Magnum Mysterium」など4曲。第2グループ「Tenebrae Factae sunt(大地は暗闇となった)」はプーランクの同名曲やビクトリアのテネブレ・レスポンソリウムなど5曲。第3グループ「Lucis creator optime(光の最良の創造主よ)」はラインベルガー「Abendlied」など2曲。第4グループ前半「Lux aeterna(永遠の光)」はブルックナー「Os justi」など2曲。後半「Illumina oculos meos(わたしの目に光を与えてください)」はエルガー「Lux aeterna」、ウィテカー「Lux nova」の2曲。

このプログラムについてより深く理解するには各曲についての知識が必要であることは間違いなく、もっと詳しい人の解説が聞きたいところではあるし、これ以上は書けない。

だが改めて聴くと、頭ではコンセプトを理解しきれずとも「光と影」を感じることはできるように思わせてくれる一枚でもある。

たとえば、プーランクの作品などは透明感のある素朴な響きが、ブルックナーやラインベルガー、エルガーの作品などは重厚なハーモニーが、ビクトリアの作品などは美しい旋律線が、ニーズの作品などは音のぶつかりや細かいパッセージが生む緊張感が、それぞれ「光と影」を織りなしているような気がしてくる。

ウィテカーの「Lux nova (新しい光)」はテキストでも「lux(光)」と連呼しているが、テキストだけではなく素朴でありながら重厚でもある、ウィテカーらしい音響(ハーモニー)が生み出す光にも酔いしれる。

個人的には改めて聴いたときにグレゴリオ聖歌の「Tenebrae Factae sunt」からプーランクの同名曲という流れが非常に良かった。

言葉で書こうとすると自分の語彙力ではどうにも上手くいかない部分が多いのがもどかしいのだが、とにもかくにも聴くたびに多くの発見がありそうな充実した内容の一枚。(2024/5/23)


Lux
Ensemble la Sportelle
2023
Links: Ensemble la Sportelle, Rocamadour

Lux

Lux

  • Ensemble la Sportelle
  • クラシック
  • ¥1681
★★★★★