What Didn't Kill Us

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Clear Voices In The Dark / Skylark

スカイラーク・ヴォーカル・アンサンブル(マシュー・ガード指揮)の新譜。第二次世界大戦の占領下のフランスで作られたプーランク「人間の顔」の8つの楽章に、南北戦争の時代に作られた8つの作品を組み合わせ、それらを交互に配置したアルバム。

Clear Voices in the Dark

Clear Voices in the Dark

  • Skylark Vocal Ensemble & Matthew Guard
  • クラシック
  • ¥1833

マシュー・ガードがこのアルバムに寄せている言葉を引用する。

偉大な芸術は(多くの場合、芸術家自身にとっての)大きな困難と苦難の産物であると私は信じている。また、社会が混乱していた時代から生まれた芸術は、より深遠であり、過去の悲劇を生き抜き、耐え抜いたことがどのようなものであったかを現代に照らし出すことができると思う。(DeepLによる日本語訳を一部修正。原文はPresto Musicで確認)

プーランク「人間の顔」は烈しい強奏が印象的な演奏であった。刺々しい響きで各パートが交錯していくところでは曲の「痛み」も感じられる。終曲のラストにあるソプラノのハイ E もしっかり絶叫。一方で、弱奏で声が薄く感じたり、粗さが気になるという部分もしばしば。完成度がもっと高いアルバムは正直他にもあるかなと思う。

南北戦争時代の作品はシンプルな作品が多く、プーランクとの対比もよく効いており、演奏も良かった。ソロを伴う曲が多く、特に「Break it Gently to My Mother」はとても美しかった。抒情的な響きのある男声合唱曲「Workin’ for the Dawn of Peace」や民謡「Johnny Has Gone for a Soldier(ジョニーは戦場へ行った)」、後半の「Abide with me(日暮れて四方は暗く)」と「リパブリック讃歌」という美しくも力強い二つの讃美歌など、印象に残る曲がかなり多かった。

二つの戦争時代の作品を混ぜ合わせるというコンセプトは面白く、新たな発見もあり、とても聞きごたえのある一枚だった。


Clear Voices In The Dark
Skylark Vocal Ensemble, Matthew Guard
2024 Dorian Sono Luminus (DSL92278)
Links: Presto, eclassical ★★★☆☆ (2024/5/24)