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Lux Aeterna - Choral Works by György Ligeti and Zoltan Kodály / Danish National Vocal Ensemble

20世紀のハンガリーを代表する作曲家コダーイとリゲティによる合唱作品を集めた一枚。デンマーク国立声楽アンサンブル × マーカス・クリード指揮による演奏。

Kodály & Ligeti: Choral Works

Kodály & Ligeti: Choral Works

  • Danish National Vocal Ensemble & マルクス・クリート
  • クラシック
  • ¥1528

一曲目は表題曲のリゲティ「Lux Aeterna(永遠の光)」。リゲティ作品はこれまで全く触れたことがなかったので、この曲名からもエルガーの「ニムロッド(エニグマ変奏曲)」を編曲した合唱曲の方が先に思い浮かんでしまうが、おそらく一般的にはリゲティのこの作品の方が有名だろう。「ミクロポリフォニー」と呼ばれる作曲技法が用いられた、クラスター的な音響を楽しむ本作だが、正直に言えば「へぇー」と思ったまま終わってしまった。おそらく、自分は旋律線がよくわからない作品が少し苦手なんだと思う。

続く「Éjszaka」と「Reggel」はリズミカルで面白い曲で、技巧的な作品を精細に演奏しているなと思ったが、短編の割には盛りだくさんな感じのある曲で、正直消化しきれていない。声部の少ない「マートラセントイムレの歌」は旋律も明快で馴染みやすかった。「ヘルダーリンによる3つのファンタジー」は、現代曲らしくクラスター的な響きなどもあるが、旋律があるからか聴きやすさもあって、割と好きな曲だった。リゲティはいずれ改めて聴き込んでみたい。

コダーイは「Esti Dal K.110」と「Este K.18」という「夕べ」を歌う二作が(聴いたことがある作品ということもあったが)まず美しく感動的な曲であり、旋律の歌い方も抜群で良い演奏だなと思った。続く「Mátrai képek K.73」が前の二曲とはかなり色を変え、美しい旋律もありながら軽やかさやパワフルさもある一曲。細かいパッセージでも崩れることなく緻密な表現がなされていて、とても良かった。


Lux Aeterna: Choral Works by György Ligeti and Zoltan Kodály
Danish National Vocal Ensemble, Marcus Creed
2022 (OUR Recordings: 6220676)
Presto, HMV
★★★★☆(2024/6/10)