ジンガー・プアによる2024年リリースの新譜は、19世紀ドイツの宗教合唱曲を集めた一枚『地上の巡礼者』。ほとんどの曲が3〜4分程度のため19曲も収録されているが約1時間で聴き切れる。
よく知っている曲も数曲あるが、全く知らない曲の方が多い一枚ではあり、だからかブルックナーの Locus iste では実家に帰ってきたような安心感があった。この人数でブルックナーを歌ってしっかりと音の厚みを感じられるのはすごいなと思ったし、フレーズの歌い込みも非常に良い。
また、唯一7分超えの曲であり、たっぷりと歌い込まれているレーガーの Die Sieben Worte Jesu や合唱のイメージがあまりないリストの Ave verum corpus などで魅せる静謐な美しさも絶品だった。
その他、ラインベルガーやメンデルスゾーンのモテットも良かったし、ベッカーやコルネリウス、ベルガー、レーヴェといった作曲家も気になる。正直まだまだ書き足りないと感じるほど、充実した一枚だった。
Pilger Auf Erden - German Sacred Vocal Music of the 19th Century
Singer Pur
2024 (Oehms: OC1728)
Links: Presto, HMV
★★★★☆(2024/6/28)