What Didn't Kill Us

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最近聴いた音楽 / 24-06-16

キリンジ「千年紀末に振る雪は」など

キリンジ(現KIRINJI)の初期シングル(双子座グラフィティ〜鋼鉄の馬)がサブスク解禁された。キリンジは後追いファンながらサブスクでは結構聴いてきたつもりだが、サブスクにないものまでは確認してこなかったので、今回解禁されたものはとりあえず一通り聴いた。

私の好きなキリンジ曲の一つである「千年紀末に降る雪は」は、シングル・バージョン(『アルカディア』収録)と、Drums, PIANO オフバージョン(『ムラサキ☆サンセット』収録)が一気に解禁。シングル・バージョンとアルバム・バージョン(『3』収録)は冒頭を除いて大きな違いが分からなかったのだが(他にもあったらごめんなさい)、Drums, PIANO オフバージョンはこれらとは全く違う味わいがあった。

ベースが一人で文字通りの「ウォーキング・ベース」として音楽が「前に歩いていく」ための重要な役割を担う。もはやベースのための曲と言っても過言ではないくらい。ブラスセクションや弦楽器による装飾も、ヴォーカルも、不思議とピアノやドラムがあるバージョンとは違って聞こえてくる。おしゃれといえばおしゃれなんだけど、私はオリジナルよりも強い「孤独」を感じ取った。

永久凍土の底に愛がある
玩具と引き替えに何を貰う?

キリンジ「千年紀末に振る雪は」

厳密に見ていくと、完全に新しく解禁された曲は少ないのだが1、ベスト盤で聴くのとシングル一枚ずつを(この曲順で)聴くのはやっぱり違うし、一度聴いた曲との「出会い直し」の機会にもなるわけで、この解禁は普通に嬉しい。「鋼鉄の馬」ってこんなに良い曲だったっけとなったり、「アルカディア」は最近聴いてなかったけどやっぱり良いなとなったり、「君の胸に抱かれたい〜エイリアンズ」とか「雨は毛布のように (Doshaburi Version)」は改めて聴いても面白いアレンジだなぁとか。キリンジ熱がまた高まりそうな予感。

千年紀末に降る雪は (Drums, Piano OFF Version)

千年紀末に降る雪は (Drums, Piano OFF Version)

  • KIRINJI
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

優河「Sunset」

優河を最初に知ったのが2022年の『言葉のない夜に』だから、かれこれ2年も経っている。今年、新しいアルバムも出るらしい。昨年は「遠い朝」という曲がリリースされていたけど、今回の「Sunset」はその少し前の時間帯を歌ってるのかなと思ったり。サウンドが充実してる。

ただ夢心地なんて
言葉にはせずに微笑んで

優河「Sunset」

Sunset

Sunset

  • 優河
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

カネコアヤノ『よすが』

人工衛星は暗闇の中 孤独を泳ぐ
絵画よりも広いこの世の爆発は祈り

カネコアヤノ「孤独と祈り」

先週から少しずつカネコアヤノを聴いている。今週はキリンジを多く聴いていたこともあって2021年リリースの『よすが』を少しずつ聴いたのみ。全体を通して絶妙に寂しい趣の曲が並んでいる。「孤独と祈り」のようにストレートに「孤独」という語を用いていない曲でも、ずっと孤独の匂いがする。そんなアルバムの最後を締めくくる「追憶」という短編で「君はいつも死にたがった私を連れ出してくれたね」なんて歌われたら泣いちゃうな。良かった。

Yosuga

Yosuga

  • カネコアヤノ
  • オルタナティブ・フォーク
  • ¥2241

はっぱ隊「YATTA!」

ニコニコ動画をほとんど見なくなって久しいのだが、いざ「見られなくなりました」と言われると急に見たくなってしまうものだ。ヘビーユーザーでは決してなかったけど、復旧を応援したい気持ちは強くあって、とりあえず「Re: 仮」を見ながらこの気持ちをキープしている。

2007年頃の人気動画をいくつか見る。この辺の動画は後追いだし、見たことがないもの、見たことがあるもの、色々だったけれど、一気に17年前の空気に引き戻された感覚はある。画質も荒けりゃ内容もかなり荒い2。過去は美化されやすいものだし「あの頃の方が良かった」とは簡単に言わないけれど(今の方が動画の質は高いわけで)、このワチャワチャな感じ、カオスな感じ、その中に「宝物」を見つけられる感じ、そしてみんなが集まる「お祭り」な感じは唯一無二だなぁと。

人によって心に響く動画は違うと思うけど、私は妙にはっぱ隊に見入ってしまった。思えば、「葉っぱ一枚あればいい」という時代はもう終わってて、男性の乳首は YouTube ならコンプラ違反。これが卑猥と言われる時代もそう遠くはないかもしれない。そもそも「何が面白いのか」と言われて説明できる気がしない。これを見て笑えてくるのは、自分が「アップデート」できていないからだろう。でも、やっぱり好きだなと思っちゃう。こういう「お祭り騒ぎ」な感じ、すっかりと減ってしまったなぁ。


  1. シングル・バージョンは既にサブスク解禁されていた「Singles Best」に収められているものもあるし、カップリングの一部もリミックス系のアルバムやリマスターのアルバムに収録されていたので、完全にサブスクで初めて聴けるという曲は結構少ない。
  2. 割とゆるゆるな時代の作品をかなり見られるので、露骨な「コンプラ違反」な動画が発掘されて、炎上したりしないかと心配している。