ドイツを代表する2つのヴォーカル・アンサンブルグループである、カルムス・アンサンブルとアマルコルドによるコラボアルバム。そこに宗教改革の「ライプツィヒ討論」という題をつけているのが面白いところ。アルバムのメインであり今回の個人的なお目当てでもあったのが、ブリュメルの「地震ミサ(見よ、大地の揺れ動きを)」。ミサの曲間にジョスカン・デ・プレ、ヨハン・ヴァルター、 トーマス・シュトルツァー、そしてラストにニコラ・ゴンベールによる作品が含まれている構成。
地震ミサはさすがに上手い。二つのグループの(なんなら女声にサポートメンバー有りの)混成アンサンブルながらも、見事なまでに調和したバランスの良い演奏であった。それにしても、何度聴いても地震ミサは聞き応えがある。12声が揃ったときの迫力に対し、声部が絞られたときの柔軟なアンサンブルにも心を惹かれた。
合間に挟まれていく各作品はカルムス・アンサンブルのみ、アマルコルドのみの演奏が多かったが、それでもパワーダウンを感じさせないどころか、アンサンブルに個性がよく出ていて、まさに「競演」という趣があった。個人的に、カルムス・アンサンブルの演奏だったジョスカン(M4: 深い淵から)と、アマルコルドの演奏だったチプリアーノ・デ・ローレ(M11: いつまで、主よ私を忘れておられるのか)が印象的だった。また、ラストのゴンベールのミサからの抜粋はこちらも12声の作品。華々しく美しいラストだった。
これは間違いなく良い一枚だったと思う。
Leipziger Disputation
Calmus Ensemble, Amarcord
2019 / Carus / CAR83497
Links: Presto, hmv
★★★★☆(2024/8/22)