What Didn't Kill Us

娯楽を借りた生存記録

Palestrina: Vol. 3 / The Sixteen

今回もシックスティーンのパレストリーナ。1枚目と2枚目は少しだけ間を空けて聴いたが、今回はあえて連続で聴くことで少しは2枚目との違いが感じられると良いかなという気持ち。

今回の3枚目はキリストの復活を祝う「イースター」をテーマとして、ミサ曲『天の女王 Regina Caeli』と、モテット、イムヌス(賛美歌)、オッフェントリウム、ソロモンの雅歌などを組み合わせたプログラム。2枚目が華やかなハーモニーを基調とする作品が多かったのに対し、3枚目は抑制的でより格の高い音楽という味わいがある。

1曲目から「Stabat Mater」が絶品だった。キリストの磔に対する聖母の「かなしみ」を表現した一曲を高い表現力で歌い上げている。悲しみの歌は愛しみの歌であるということを改めて思い知らされるような重厚さ。また、今回はソロモンの雅歌を先に配置し、モテットやオッフェントリウムなどを一通りやってから、最後に堂々とミサが演奏される。このラストのミサはポリフォニーの多様な魅力が一曲の中に詰まっており、それを巧みに演奏している。静的な Kyrie からはじまって、ダイナミックな動きのある Gloria、Credo へ。短い中でも劇的な音楽的変化を伴う Sanctus と Benedictus を経て、ふたたび静的な Agnus dei へ。パレストリーナのミサは3枚目なのでまだ3曲目しか知らないけれど、今のところ一番好きかもしれない。

なお、シークレット・トラックが入っているのだが、サブスクだとシークレットになりようがない。短いポリフォニー作品だが、これぞルネサンス・ポリフォニーという豊かな響きで、しっかり良い余韻を残してくれる。ミサの余韻を邪魔するかなと思ったけど、個人的にはむしろシークレットトラックがあって良かったかも。


Palestrina: Vol. 3
The Sixteen, Harry Christophers
2013 (Coro: COR16106)
Links: Presto, hmv, booklet(pdf), CPDL
★★★★☆(2024/7/28)

Palestrina, Vol. 3

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