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娯楽を借りた生存記録

Lassus: The Alchemist, Vol. 1 / Magnificat

後期ルネサンス・フランドル楽派の著名な作曲家の一人、オルランド・ディ・ラッソ(オルランドゥス・ラッスス)による教会音楽の中から聖母マリアの讃歌であるマニフィカト(Magnificat)を集めた一枚。2枚組2時間半というかなりのボリューム。フィリップ・ケイヴ率いるイギリスの声楽アンサンブル「マニフィカト」の演奏。

本アルバムに収録されているラッソのマニフィカトは、グレゴリオ聖歌ではなく、前時代から同時代の他の作曲家によるポリフォニー楽曲を下敷きにして作曲された。そのため本アルバムも、その元となった2〜3分程度のポリフォニー曲とそれに基づく8〜9分程度のマニフィカトという構成になっており、その組み合わせが14セット収録されている。参照された作曲家は順に、ヴェルドロ、ノレット、デ・リュー、デ・ローレ、デ・ベルヘム、デ・モラレス、ヴェッキ、ナニーノ、ストリッジョ1世であり、1曲はラッソ自身のポリフォニーを下敷きに作曲されている。

これぞルネサンス・ポリフォニーという音楽がたっぷりと収録されており、ラッソの音楽を他の作曲家と対比しながら、またラッソの中での多様性についても感じながら、ラッソに浸ることのできる一枚である。マニフィカトによる演奏もツボをよく押さえていて、流麗で高い表現力を備えている演奏。まだまだ無限に聴いていられる気がするくらいであるが、集中して聴き続けるには長いのも事実。半分聴き流しという感じで聴いていったが、もっと少しずつ聴いていっても良かったかもしれない。


Lassus: The Alchemist, Volume 1
Philip Cave, Magnificat
2024 / Linn / CKD660
Links: Presto, hmv
★★★☆☆(2024/8/2)

Lassus: The Alchemist, Vol. 1

Lassus: The Alchemist, Vol. 1

  • Magnificat & Philip Cave
  • クラシック
  • ¥2750