What Didn't Kill Us

娯楽を借りた生存記録

最近聴いた音楽 / 24-09-08

ここ最近は書き溜めしてしまって何日連続で更新してるんだかという感じになってしまった。できればリアルタイムで出していきたいので、今後しばらくは水金日更新にしていこうかなと思っている。今回のハイライトはバンプのニューアルバム。

BUMP OF CHICKEN『Iris』

リリース前に既発曲・タイアップだらけのアルバムであることを批判されているのを見かけたが、その批判に乗っかるほど深追いしてきたファンではなく、いざプログラムを見てみたらむしろ大半は初めて聴くという状況だったので思わず笑ってしまった。私はこんなにバンプをまともに追っていなかったのか… と思うと同時に普通のアルバムのような感覚で聴ける喜びを少しだけ感じた。

一応はコロナ禍(〜アフターコロナ)の色を残したようなアルバムと評価できるだろうか。人間の眼球にある「虹彩」を意味するIrisというタイトルの意味はナタリーのインタビューで言及されていたが、虹彩認証というシステムが開発されているように虹彩は指紋のように一人一人に固有のものであることも重ねて読み込めるような気はするし、虹の彩りという風に考えれば、冒頭の「Sleep Walking Orchestra」から「なないろ」という二曲に、虹のような彩りの美しさが感じられたのが印象的だった。

アルバムとしてはちょっと流れが悪いかなというのが正直なところで、そのあたりは同じようにあれだけ既発曲とタイアップのあった米津玄師と比べたときに… みたいなことは思ってしまった。とはいえ、単曲レベルでは十分に聞き応えがある。列挙していくと「Small World」が良かったし、あとは「邂逅」「青の朔日」から「strawberry」にかけての流れも素晴らしかった。「窓の中から」もこういうのが聞きたかったという感じだった。来週聴いたらまた違う曲が気になるかもしれない。

BUMP OF CHICKENの5年ぶりアルバム「Iris」藤原基央1万字インタビュー - 音楽ナタリー 特集・インタビュー

Iris

Iris

  • BUMP OF CHICKEN
  • J-Pop
  • ¥2037

日食なつこ「開拓者 (2024 mined ver.)」

人は怒って泣いて笑って
いろんな色して生きていく
所々汚れた黒は
涙で滲ませた苦い記憶

いつか重ねて青空で塗り潰すのさ

日食なつこ「開拓者」

日食なつこらしい?人生哲学の滲んだ楽曲だが調べてみると、最初期のEP「LAGOON」収録作とのこと。特別なことを歌っているわけでもないし、ピアノのトラックも平易なのだが、めちゃくちゃキレッキレだなぁ。

開拓者

開拓者

  • 日食なつこ
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

諭吉佳作/men「Q」

良かったぁ。テンポがうねるように変化していく感じなど全体的にトラックが良すぎて、ちょっとどうしよう。癖になるな。映像とセットで楽しんだ方が良いのかもしれないし、それはそれで分かるんだけど、なんとかストリーミングでも配信される日が来ないだろうか…

Ryu Matsuyama「To get there」

なるほど、To get here の視点と To get there の視点に分かれているんだな。「諦めることは安易だなって思う」ってなかなか強烈な歌詞だ。人が苦しいとき、前に進めなくなったときにそばにいてくれる人の存在って大きいけど、だからこそ苦しい人の近くには善人のふりをした悪人も寄ってくるんだよなぁみたいなことを考えてしまった。この歌は割とシンプルな人間愛を歌っているわけだけど、現実はそんなに単純な関係だけではやってられないというか。ちょっとひねくれすぎてるかな。私は涙を拭いてくれる人よりもただ横で泣くのを待ってくれる人の方が信頼してしまうかも。

To get there

To get there

  • Ryu Matsuyama
  • オルタナティブ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes


佐藤あんこ「花火」

あまり飾らない言葉で、まっすぐに花火の風景を歌い上げていくのが、上手く言語化できないんだけどなんか沁みたな。

花火

花火

  • 佐藤あんこ
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

Galileo Galilei「SPIN!」

10年前くらいに「閃光ライオット」とかを追ってた時期に名前だけ見かけてたなぁくらいのバンドで、一回活休して再開したとかその辺の事情もよく知らなかった。聴いてびっくりした。こんなに洗練された音楽をやるバンドだったのか。これはハマってしまうかもしれない…

SPIN!

SPIN!

  • Galileo Galilei
  • オルタナティブ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes


PAS TASTA『GOOD POP』『GOOD POP THE REMIXES』

ニューリリースで目にとまって、その勢いで昨年リリースのアルバムにも手を出してみた。エレクトロニックなポップミュージックは完成度の高さに驚かされる。技巧的で複雑な楽曲が並んでいるが、その複雑さをあまり意識させないキャッチーさも。オリジナルの方を聴いたときにリミックス盤でこれ以上やることあるのかと思ったら、リミックス盤はリミックス盤で好き勝手にやられていたのが面白かった。個人的な印象としてはだいぶ前衛的だけどポップミュージックをギリギリ逸脱しないラインにいるような気はする。特にリミックスはこれ以上やられると素人にはついていける気がしない。DTM系の音楽にあまり明るくないということもあって、聴けば聴くほどに衝撃を受けるが、なんだかんだバンドサウンドやアコースティックなサウンドが恋しくなるところもある。

お祭り騒ぎなだけでなく、お祭りの音やビートを組み込んだ「peanut phenomenon」、フェミニンで優しい音楽とラップパートが対話していく構図も面白い、鈴木真海子を迎えた「finger frame」、ハードなだけでなくメロディックな部分もあるのが魅力的な、崎山蒼志を迎えた「river relief」あたりが好みだった。

Good Pop

Good Pop

  • PAS TASTA
  • J-Pop
  • ¥1833
Good Pop the Remixes

Good Pop the Remixes

  • PAS TASTA
  • J-Pop
  • ¥2037

折坂悠太『平成』

呪文、心理、という大傑作から遡ってきてしまうとどうしてもその拙さに目が行ってしまう部分はあるが、それでも素晴らしい作品。圧倒的なソングライティングは、時代を背負うようなアルバムタイトルに決して負けていない。このアルバムを「平成(末期)の代表作」の一つと断言しても良いだろう。平成末期の空気感を色濃く出したような前半(坂道、逢引、平成)を経ての第4曲「揺れる」という明らかに地震を匂わせる楽曲はかなり印象的に響いた。平成とは大地震の時代だったんだよな。さらには「みーちゃん」の独特な響きを聞きながら、カオティックな幼少期とそこに対する「親や兄姉からの視線」を感じずにはいられなかった。折坂らしいという意味では「さびしさ」はベタだが推したい一曲。トラックのパターンは限られているし、未熟でもなければ成熟しきってもいない、明らかにミュージシャンの「過渡期の音楽」であることが窺えるが、そもそも平成末期というのが価値観の大きな転換点だった(さらにその転換はコロナ禍によってもう一段階曲がるわけだが)ことを思えば、そのような特徴すら「平成らしさ」かもしれない。一人の平成生まれとしてこのアルバムが平成を背負う一枚となることに全くの異論はない。

Heisei

Heisei

  • 折坂悠太
  • J-Pop
  • ¥1833

スカート「魔女」

個人的に『20/20』の中だと「離れて暮らす二人のために」と「視界良好」、あとは「パラシュート」と「静かな夜がいい」あたりが好きだったのだが、最近聴き直している中で妙に「魔女」が刺さった。スカートは疾走感のあるロックチューンも良いのだが、さりげなくこういうメロウなナンバーが泣かせてくる。それは知っていたのだが、めちゃくちゃ意外な「再会」だったな。

魔女

魔女

  • スカート
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes