What Didn't Kill Us

娯楽を借りた生存記録

France / SWR Vokalensemble


SWR(南西ドイツ放送)ヴォーカルアンサンブル・シュトゥットガルト × マーカス・クリードによるフランスの合唱作品集。

プーランク『雪の夕暮れ』はもう少し重苦しい趣のある演奏の方が好みだが、よく統率の取れたハイレベルな演奏だった。ドビュッシー『三つのシャンソン』やミヨー『ヴィーナスの誕生』も良演。細かいパッセージや軽やかなフレーズの処理が上手いなと感じる。厚みのあるサウンドながら、重々しくならず音の自然な推進力に乗せて軽やかに歌い上げている。この三作はいずれもオシャレなハーモニーが印象的であった。

かなり強い印象を残したのが、アンドレ・ジョリヴェ「祝婚歌」。初めて聴いたが、シュトラウスのモテットのように、合唱をオーケストラ的に使った作品という印象。スケールが大きい難曲だが、SWRヴォーカルアンサンブルはこういう曲が本当に上手いなと驚かされた。緻密さと大胆さを備えた迫力ある演奏。これだけでも聴いた価値があったなと。

プーランクの無伴奏男声合唱作品「アッシジの聖フランチェスコの4つの小さな祈り」はしっかりと味付けされた良演。「雪の夕暮れ」に続いてかなり短いが、フレージングがなかなか良かった。メシアン「おお、聖なる饗宴よ」は安定感のある仕上がり。最終曲に配置されたアペルギス「ヴェルフリ・カンタータ」の第二曲はド直球の現代音楽。ハーモニーを聴かせてきたアルバムが最後の最後にハーモニーを響かせる作品ではなく細かいリズムの絡み合いを活かした作品に行くのが面白い。高い技術で難解な作品を歌い上げている。


France
SWR Vokalensemble, Marcus Creed
2018 (SWR Music: SWR19065CD)
Presto, HMV
★★★★☆(2024/7/6)

France

France

  • SWRヴォーカルアンサンブル・シュトゥットガルト & マルクス・クリート
  • クラシック
  • ¥1528