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娯楽を借りた生存記録

Symphonic Psalms and Prayers / テネブレ & BBC交響楽団


今回は、ストラヴィンスキー『詩篇交響曲』、シェーンベルク「地上の平和」、バーンスタイン『チチェスター詩篇』、ツェムリンスキー「詩篇 第23篇」が録音された一枚。テネブレ & BBC交響楽団(ナイジェル・ショート指揮)の演奏。ほとんど初めて聴く。

ストラヴィンスキー『詩篇交響曲』は激しい曲で、強奏の激しい演奏にも惹きつけられるところは多くあったが、音が直接的にかなり強く飛んでくるので少し耳が痛いと感じるところもしばしばあった。第三楽章の後半などゆったりとした弱奏部分の美しさが高評価。

シェーンベルク「地上の平和」は今回通しで聴く前から何度か単曲で聴いているのだが、このテネブレの演奏は驚くほど上手い。演奏タイムが8分から9分程度が多く、テネブレの10分半というのは少し遅めである。聴いていても少しゆったりとした印象を受ける。それでも激しさが足りないと感じるようなことはなく、細かい部分までよく行き届いた演奏と感じられる。この曲だけ録音環境が違うからか、音もちょうど良い。この曲の名演として間違いなく挙げたい演奏かな。

バーンスタイン『チチェスター詩篇』について、まず第1楽章はエネルギッシュに推進していく音楽が素晴らしかったのだが、録音レベルの問題か、前曲のシェーンベルクと比べたときに少しうるさい。第2楽章の前半は美しいソロのバックで流れるハープが少し前に出てきすぎで、途中から入ってくる合唱も主張が大きいなと思ってしまった。後半の細かいパッセージになってからの斬れ味は良いのだが、やはり音がちょっと痛いか。それにしてもソロが美しい。第3楽章は激しさのある弦楽合奏から始まり、甘美な歌へと引き継がれていく。ストラヴィンスキーもそうだったが、弱奏のときのテネブレの演奏が絶品すぎる。

ツェムリンスキー「詩篇 第23篇」は急にオケの「音」が柔らかくなり、録音が耳に馴染みやすくなっていて驚く。激しさ、雄大さ、甘美さ、静けさなど、色んなものを感じさせる一曲で、特に終盤は壮大な音楽から自然を感じさせるのどかな音楽へと落ち着いていくのが印象的だった。何度も聴いていくともっと好きになれそう。

海外のディスクレビューで録音と演奏を分けて評価されているのを何度か見かけてきたが、その理由がこのディスクでよく分かった。正直、今回は星をつけづらい。演奏は正直★5をつけても良いくらいだが、録音の出来は★2か★3かなという印象。今回は間をとってつけた。


Symphonic Psalms and Prayers - Bernstein • Schoenberg • Stravinsky • Zemlinsky
Tenebrae, BBC Symphony Orchestra, Nigel Short, David Allsopp (countertenor)
2018 (Signum: SIGCD492)
Links: Presto, hmv, tenebrae, musicweb-itn.
★★★★☆(2024/7/14)

Symphonic Psalms & Prayers

Symphonic Psalms & Prayers

  • テネブレ, BBC交響楽団 & ナイジェル・ショート
  • クラシック
  • ¥1528