What Didn't Kill Us

娯楽を借りた生存記録

Regnart: Missa Christ ist erstanden & Other works / Cinquecento


フランドル楽派のルネサンス音楽を中心に録音を進めているチンクエチェントのアルバムを遡るように聴いている。今回は2021年にリリースされた、ヤコブ・ルニャールの二つのミサ曲と三つのモテットを録音した一枚を聴いた。

前半のミサ『キリストが復活した Missa Christ ist erstanden』と後半のミサ『喜べ、価値あるキリスト教徒たちよ Missa Freu dich, du werthe Christenheit』はいずれも同名の聖歌の旋律をモチーフとしており、各楽章は聖歌の模倣による単旋律から始まって、徐々に音が重なることでポリフォニックな響きとなっていく。似たような味わいながら異なる印象を与える二つのミサで、細かく比較するような聴き方もあるかもしれない。大雑把な印象としては、前半のミサの方が複雑な対位法かつ少し重めな味わいがあり、後半のミサの方が響きも明るめで軽やかさもある感じがした。テーマ(曲名)に引っ張られたかもしれないが。前半のミサの Agnus dei の厳かな感じが耳に残っている。

予想以上に聞き応えがあったのは、中間に置かれたモテット「主がなされたすべてを称えよ Rühmbt alle Werck deß Herren」「あなたしかいない時に Wann ich nur dich hab」「すばらしいマリア、明るい輝き Maria fein, du klarer Schein」。特に「あなたしかいない時に」はキャッチーさもある美しい旋律が特に印象に残った。ルニャールという作曲家はこれまで知らなかったが、チンクエチェントが何度も取り上げるのも少し分かる気がした。


Regnart: Missa Christ ist erstanden & Other works
Cinquecento
2021 (Hyperion: CDA68369)
Links: Presto, hmv, Hyperion
★★★★☆(2024/7/17)

Regnart: Missa Christ ist erstanden & Other Works

Regnart: Missa Christ ist erstanden & Other Works

  • チンクェチェント
  • クラシック
  • ¥1833