What Didn't Kill Us

娯楽を借りた生存記録

To Sing of Love / VOCES8 Foundation Choir & Orchestra

ヴォーチェス8 の2024年リリースの新譜『To Sing of Love』を聴いた。ウィテカーやブリテンの合唱作品を管弦楽付きにアレンジしたものなど、合唱と管弦楽のための作品が収録されている一枚。

To Sing of Love

To Sing of Love

  • Various Artists
  • クラシック
  • ¥1528

先行配信されていたウィテカー「Sleep」については、以前にも一度簡単な感想を書いている。

管弦楽編曲版のブリテン「Rejoice in the Lamb」はところどころでクラリネットが印象的だったが、そこまで管弦楽編曲の良さを感じられず。普通にオルガン版で良いかな。

ヴォーン・ウィリアムズ「The Lark Ascending」は合唱がオーケストラと並んでバイオリンのソロを引き立てる協奏曲のような構成となっており、美しいバイオリンのソロが強いインパクトを残す。合唱が基本的にはテキストなしでオーケストラに溶けているが、部分的にテキストを伴って歌われることが良いスパイスになっていて、このアルバムの中では一番良かった。

後半のR.デール「The Cloths of Heaven」、T.S.デイビス「To Sing of Love - A Triptych」、ウィテカー「Sleep」は大衆的で甘々な曲が並ぶなぁと思ったくらいで、あまり印象に残らなかった。悪い演奏というわけでも、特別に悪い曲というわけでもないのだが、あまり面白いとは思えず、この編成で何か革新的なことをやってくれるかも?という期待に応えてくれるような内容ではなかったかなと。ウィテカーは元からオケっぽい音使いの曲だから、原曲ベースでオケ版作ったらこうなるだろうなとイメージできる感じ。表題曲の「To Sing of Love」でもバイオリン独奏が使われているが、ウィリアムズと比べてだいぶ印象が薄い。良い喩えかは分からないが、大衆向け映画のサウンドトラックのような「キャッチーな」曲だとは思うので、好きな人は好きだろうと思うが、個人的には期待との落差が大きく、わざわざ再聴しなくても良いかなと思った。


To Sing of Love
VOCES8 Foundation Choir, VOCES8 Foundation Orchestra, Barnaby Smith, Jack Liebeck (violin)
2024 (VOCES8 Records: VCM166D)
Presto
★☆☆☆☆(2024/6/14)