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Schubert Reimagined / Josephine Knight

シューベルトの名曲に対して新たなアレンジを施して、新解釈を見せた意欲作。チェリストのジョセフィン・ナイトを中心に、男声アンサンブルのジェズアルド・シックス(M1, M9)、ピアニストのサイモン・クロフォード=フィリップス(M2-8)、ホルンのティモシー・ジョーンズ(M2-4)が参加している。

前半は、弦楽五重奏曲ハ長調 D.956 の第2楽章 Adagio はチェロと合唱のためのアレンジがなされ、歌曲集『冬の旅』および『白鳥の歌』からの4作は声楽が入らない編成にアレンジされている。いずれの楽曲でもチェロの力強い歌い上げが印象に残っている。とりわけ、『白鳥の歌』の「ドッペルゲンガー」におけるチェロは厳粛な重みのある素晴らしい歌を見せていた。また、『冬の旅』のホルンとチェロという組み合わせも予想以上に良かった。ホルンサウンドの調和の良さはすごい。ジェズアルド・シックスもさすがの巧みな演奏でチェロと融和的であった。人間の声か(あるいは言葉が入るか)そうでないかということの境界線が曖昧になっているような印象があり、とりわけジェズアルド・シックスの演奏は随所で弦楽アンサンブル的だった。

後半は、アルペジオーネという楽器のために作曲された「アルペジオーネ・ソナタ」のチェロ演奏から。調べてみたら別にチェロ演奏は珍しいことではないらしい。アルペジオーネで演奏するとどんな感じなのかを知らないけれど、チェロでも十分良かった。ラストは、シューベルトの数ある男声合唱曲の中でも一番有名なのではというくらいの名曲「Die Nacht」。ジェズアルド・シックスの(最後にもう一度ハミングでリピートする以外はおそらくほぼ原曲通りの)厳粛な演奏にチェロの旋律が絡み合う。まぁこの曲に関しては、チェロが入ると雄大になりすぎてうるさいかなという印象もあったが面白いアレンジだなとは思った。

全体的には意欲的で良いアルバムだと思った。


Schubert Reimagined
Josephine Knight (cello), Simon Crawford-Phillips (piano), Timothy Jones (Horn), the Gesualdo Six
2024 / Orchid Classics / ORC100302
Links: Presto, hmv, orchid
★★★★☆(2024/8/9)

Schubert Reimagined

Schubert Reimagined

  • Josephine Knight, サイモン・クロフォード=フィリップス, ティモシー・ジョーンズ & ジェズアルド・シックス
  • クラシック
  • ¥1528